疎遠だった姉が、突然にこの世を去った。
夫だった人とは離婚して、多感な一人娘を
育てていた、その矢先に。
主人公は幼い頃から姉に対して複雑な
想いを、いやそれ以上に拒絶反応を示して
いた。長じてからは、いつしか疎遠という
乾いた距離の取り方をして、姉妹としての
関わりを絶って来た。
その姉の 忘れ形見の少女 を引き取る
事になった年老いた両親。そこに未だ
同居している 自分 の日常。
細やかに描かれる心の機微が、大阪の街や
周囲の人々、果ては日常生活のほんの
小さな様子にまで丁寧に、そして息遣いが
感じられる程の濃度で描かれる本作品。
穏やかで、それでいて惰性的とも言える
日常に入り込んだ 姉の娘 に、彼女は
幼い頃の姉を、そして 自分自身 をも
見出して行く。
春から、姉妹で通った中学に入る姪との
生活。圧倒的な文章に攫われて行く感情は
一体何なのだろうか。
これ程までに凄い作家が存在したとは。
文章を、そして 物語 を描き切る
圧倒的な感性と表現。
プロ、アマを問わず、とても稀有な作家と
言えるだろう。