SREがダンジョン攻略、という時点でニヤッとしましたが、読んでみると想像以上に“ちゃんとSRE”でした。
敵はドラゴンでも魔王でもなく、
・輻輳
・過負荷
・最適化過多
・冷却余裕の縮小
という、現場のほうがよほど恐れている存在。
しかも攻略法が最高です。
殴らない。
詠唱しない。
最短経路を捨てる。
効率を落とす。
無駄を増やす。
「それRPGでやる判断じゃないだろ」と思いながら、「いや、現場だとそれが正解なんだよな……」と何度も頷いてしまいました。
特に最深層の“完璧な自動化に人為判断を残す”選択。
合理的ではない。
でも信用できる。
ロールバックが万能ではないところもリアルです。
戻せない判断をちゃんと重く扱っているのが、地味に刺さります。
派手な勝利演出はありません。
ログが落ち、胃が痛くなり、誰にも気づかれずに世界が朝を迎えるだけです。
でもそれが一番の成果。
「世界を落とさなかった者」という称号が、こんなにしっくり来る作品はなかなかないと思います。
夜間オンコール経験者は多分、静かに笑いながら読める物語です。