婚約破棄と冤罪という重い導入から始まりながら、主人公が「書くこと」を通して自分の居場所を取り戻していく流れが丁寧に描かれている点が印象的でした。
ライネットという商人の相棒の存在によって、創作が現実の生計や流通と結びつく過程が具体的に示され、物語に現実味が生まれています。
旅先での経験が創作の質を高め、内面の成長と直結していく構成は非常にわかりやすく、読者が感情移入しやすいです。
終盤で過去と向き合い、自分の意志を言葉と行動で示す場面は、静かながら確かなカタルシスがあります。
大きな復讐ではなく「自分の人生を選び直す」ことに着地する点に、穏やかな読後感を覚えました。