日々の丁寧な仕事描写が積み重なることで、主人公の誠実さと世界の静けさが自然に伝わってきました。矢を拾い、磨き、売るという行為が単なる生業ではなく、倫理そのものとして描かれている点が印象的です。後半で明かされる事実は派手な演出に頼らず、読者自身の価値観を静かに揺さぶってきます。暴力を直接描かない構成だからこそ、「関わってしまった」という感覚が強く残りました。読後、善意とはどこまで責任を伴うのかを考えさせられる余韻があります。