凄惨な戦場から始まり、美しい異世界への戸惑いを経て、生々しい政治の闇へ。そして最後に主人公が「自分の意思で強くなることを選ぶ」訓練編へと着地する。この一連の流れに一切の無駄がなく、一気に読ませる推進力があります。
主人公が傷ついても再生する設定は、一間違えれば緊張感を削ぐ原因になります。しかし本作では、「肉体は戻っても、打たれた感覚と痛みだけが置き去りで残り続ける」「立ててしまう自分が気持ち悪い(腹が立つ)」というように、新の精神的な負荷として生々しく描かれています。
フィオナによる冷徹な「能力の確認」や、シルヴァンの「死なないからこそ、怪我を前提として限界までしごく」というアプローチ。これらによって、能力が「便利なチート」ではなく「過酷な運命を生き抜くための最低限の足場」として機能しており、ダークファンタジーとしての品格を保っています。