心臓に病を抱えて生まれたわが子。
夫は海外赴任中。
孤独な育児に奔走する母の前に黒猫が現れこう告げる。
『その赤ん坊、あと十日で死ぬよ』
呆然とする母親に、黒猫はある契約を持ちかけるのだった――。
◇
ぼくらの生きるこの世界には様々な対立軸があり、ときにどちらかの選択を迫られることがあります。
正しさや好き嫌いだけで選ぶことができるならそれほど楽なことはありませんが、ことはそう単純ではない。
片方を選べば他方を手放さなければならない選択もありますし、その選択が正解だったのか、ついに答えが示されないこともあります。
そうした選択に悩み翻弄され続けることこそが、生きるということなのでしょうね。
タイトルにも「狭間」とある通り、このお話はそんな選択の狭間に揺れる「人間」の物語だと思いました。
わが子を救うためなら、どんなことでもする。
それは多くの親が思う事でしょう。
だけどその選択は本当にその子のためですか?
見るべきものを間違ってはいませんか?
光と闇。シンボリックな対立軸に作者様の問いを投げかける本作。
とてもおすすめです。
ぜひ。
清香には生後五ヶ月を過ぎた娘・愛奈華がいる。
愛奈華はひと月前の検診で、心臓の壁に穴が空いていると言われた。
もう少し大きくなるまで経過を見た方が良い。
そう病院では判断された。
しかし、そんな清香の前に、黒猫‥‥‥のような者が現れる。
そして言う。
『その赤ん坊、あと十日で死ぬよ』
その“猫”は命の期限がみえるという。
そして清香に取引を持ち掛ける。
赤ん坊の命の期限を延ばすため、その引き換えに要求されるのは──。
もし大切なものの命がもうすぐなくなると言われたとき、そしてそれを伸ばせると言われたとき、自分ならどうするだろうか。
すでに清香は精神の極限状態。
そこに持ち掛けられた取引である。
光と闇の間に生きる人間は、容易く闇に落ちてしまう。
だからこそ、確かなことと不確かなことを見極める目を持たなければいけない。
光の方に向かって生きられるように。
判断を。選択を。そして──。
見るべきモンを、間違えるな。
ぜひ、ご一読ください。