作家・仁科透のPCから復元されたデータを、そのまま読者に突きつけてくる異色作。
警察が「事件性なし」で幕を引いた後に残されたのは、対話型AI『Mnemosyne』との不可解なチャットログと、意味の崩れた音声ファイル。
事実の羅列なのに、どこか“触れてはいけないもの”に近づいている感覚がある。
フォレンジック調査という冷静な枠組みの中で、じわじわと不穏さが増していく構成が巧い。
ログの破損や異常な文字列が、単なる演出ではなく“何かが起きた痕跡”として迫ってくる。
閲覧注意の警告すら物語の一部になっていて、読み終えた後も妙なざわつきが残る。
デジタル怪異系が好きな人には特に刺さる一作。