フレッシュジュースというタイトルから、ドリンクバーをめぐる一種の思想の戦いの小説である。
戦い?と思われたかもしれないが、この小説が、得体のしれないものを受け入れるか、受け入れないか、という、人間の理性と本能と好奇心と不安のないまぜになった、何かを一気に飲み干せとばかりにジョッキ一杯にそそがれた、不気味な色彩のドリンクを目の前に置かれる緊張感のような小説だからだ。
読んでいるうちに、日常の感覚がだんだんと麻痺して遠ざかっていく。気が付くと、すぐ隣まで、異界が押し寄せてきていた。
さて、あなたの目の前にも一杯おかれている。飲むように読むか、それともおそるおそる器に手を伸ばすように、読むか、それとも――?
圧倒的な世界観に眩暈を起こしながら、最後の一滴まで、読み終えてみてほしい。