予告状から始まる軽妙な盗賊劇と、鉱石掘りに明け暮れる日常パートの落差が心地よく、世界の広がりを自然に感じさせてくれました。謎の剣士の飄々とした立ち回りは痛快で、教会側の慌ただしさとの対比が鮮やかです。一方でフィーリアと魔剣ブランの掛け合いは素朴で親しみやすく、迷宮都市の底辺事情に説得力を与えています。派手な事件と地味な労働を並置することで、「冒険者」という職業の多面性が際立っていました。肩の力を抜いて読める語り口の中に、先の展開を期待させる種が丁寧に撒かれています。