母を殺害した記憶を失い「死刑囚」として生きる主人公と、その母を憎んでいた吸血鬼の少女・華奈美が織りなすダークロマンスだ。血を吸う行為を通じて記憶や罪が共有・移譲されるという幻想的な設定が特徴であり、自己犠牲的な「救済」の形を問いかける。忘却という防衛本能と、血に刻まれた真実が交錯する中で、狂気と慈愛が紙一重で描かれる緊張感溢れる筆致が大きな魅力となっている。「重い愛」や「共依存」といったテーマを好む読者。記憶の断片から隠された真実が紐解かれるミステリアスな展開を楽しみたい層におすすめできる。