大正のまもなく開店を予定してる百貨店を舞台にした契約婚ストーリーです。自分に自信がなく、周りからも虐げられていた主人公、文は若旦那である朔に字の美しさを認められ、一月と言う条件で契約婚をすることになります。自分に自信がなかった文が朔と一緒に居るうちに徐々に変わっていく姿が健気で、素直に応援できる物語でした。大正と言う近代化が始まったばかりの時代。中心となっている舞台に百貨店があるというのも新鮮でした。
真っ白な紙に一筋の美しい線が引かれる瞬間の、あの心地よい緊張感に満ちた物語です。それは、暗い蔵の中で眠っていた名もなき名画が、一人の目利きによって額装され、スポットライトの下へと引き上げられるような、劇的で美しい変化。 「契約」という冷たい文字で綴られたはずの二人の距離が、触れ合う体温と手袋越しの指先によって、次第に甘く重い「独占」へと書き換えられていく。 古き良き和の情緒と、新しき洋の華やかさが混ざり合う中で紡がれる、極上のシンデレラストーリーです。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(188文字)
筆耕係の文は、巴里から帰ってきた若旦那から契約結婚を持ちかけられる――大正という電気が通り始めた時代のレトロな雰囲気が漂い、読んですぐに物語の世界に惹き込まれます。筆耕係の主人公・文は、筆を持って働いているが故に手をとても大事にしています。作中で描かれる「手」の描写がとても素敵で、契約結婚した二人がおずおず触れて、支え合い、気持ちがつながる、互いの手と手が触れ合う瞬間が非常に魅力的です。契約結婚から真実の恋を手にする素敵な大正ロマンスでした。