第2話 アンダーハイヴ
視界が開けると、なんとも言えない場所に立っていた。
「ここがスタート地点なのか?本来はじまりの街ってチュートリアルのために結構綺麗だったり、親切NPCがいたりするもんなんじゃ…」
地面は舗装されておらずガタガタで、周囲に見える建物はボロボロ、空気はお世辞にも澄んでいるとは言い難い。
「スラムかよ」
これも盗賊の仕様ってことなのか?
“基本プレイスタートからこんな状況に陥ってしまうとテンパって正常な判断が難しくなる者もいるのだが、影斗はこんな状況でも正確に現状を把握していたのである”
目を凝らして周りを見るとボロボロな服を着た子どものNPCが集団になっているのも確認できる。
とにかく話を聞くために子どもの方へ歩いて行くと、周囲から複数の何かが子ども達へと近づいてるのが分かった。スキル聞き耳がしっかりと発動している。
===聞き耳===
・常時、音から状況把握が活能になる
・視界外からの攻撃への反応速度上昇
・離れているところでの会話の聞き取り
・うまくいけば「嘘」「焦り」を見破ることができる
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どうなるのか様子を見ていると、3人組の男女が現れ、リーダーのような男が子ども達に向かって剣を向ける。
「どうなってんだよ、プレイヤーがNPC襲うとか民度終わってるだろ。
普通にムカつくし、ちょうどいいから腕試しに相手してやるか。」
靴装備の効果なのか足音を全く立てることなく接近ができる。
男の剣を下から弾き飛ばし、子供達から距離を取らせつつ、俺が子ども達を守るように子ども達の前に立つ。
「なんだ?初心者盗賊がヒーローごっこかぁ?そんなデータの塊守ってもなんにもねーよ。にいちゃん俺たちが正しい盗賊のあり方を見せてやるよ」
剣を持っている盗賊が俺のことを煽ってくる
「そうだよ!痛い目見たくなかったら、あたい達のいうこと素直に聞いとくんだね」
今度は後ろに立っている魔法職っぽい女が言う。
「はぁ、普通に胸糞悪りぃんだよ!」
その言葉にカッとなったのか男が剣を振り上げ俺に切り掛かってくる。
大振りな上段からの切り掛かり、
「スキルなくても余裕かな」右手に短剣を構えて男の剣を弾き返し、左拳で男の腹部に全力パンチをかます。男は吹っ飛んでいき、そのままそのまま粒子になって消えてしまった。
いくらなんでも弱すぎだろ、どうなってんだよ。
「あ…ああ、あんた本当は初心者じゃなかったんだろ!おいケースケおいつのこと鑑定してくれよ」
魔法職っぽい女が先ほどまで無言でこちらを眺めていたメガネの男に質問する。
男は俺のことを鑑定士たのかプルプルと震えて、
「エマさんこいつは正真正銘の初心者だ、レベル1のオール初期装備」
それを聞いて女の方もヤバさを実感したらしく、数秒すると2人とも振り向いて走り去ってしまった。
振り向くと戦闘を見ていた子ども達が周りを警戒しながらこちらへとゆっくり近づいてくる。
「…もう、行った?」
子どもの1人が聞いてくる。
「もう大丈夫だよ。」
できる限り、怖がらせないように返事をする。
「もう行っちゃう?」
一番小さい子が
こちらを見上げながら聞いてくる。
残ってやりたい気持ちもあるけど、現状ここに残っても俺にできることはない。いつかはこんなスラムをなくせるといいな、なんて考えてしまう。
「…もう行くよ。」
「また、来てくれる?」
俺は少女からの質問に俺は答えることができなかった。
Side???
「レベルは1、スキルの使用は確認できなかった。それでもあの圧倒的な力」
影斗は一瞬足を止める。
「……見てたのか」
「仕事なもんでね。心配しなくて良い、すでに情報は周りつつある。」
この世界に長くいるものならば一度は名前を耳にしたことがあるであろう、NPCの中でも最高クラスの情報屋によって、この街に降り立ったばかりの名もない盗賊の情報が初めて取り引きされる。
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