妄想兼脳内デート(私は決して変態ではありません。)
M6363
第1話「光咲と恋のジェットコースター、愛は急には止まれない!」
異性と接触し対話をした事がない。
故に些細な一言でドキドキしてしまう。
その様な人間がこの世界には、数多く潜んでいる。
この物語は、異性に対して免疫のない生物
(非異性接触種Noラブリー)である男の悲しい
妄想コメディである。
介護の職場では、当たり前の事柄が存在する。
それは職場に女性が多いという事である。
しかし女性が多い職場は、数多くある。
そして介護職員に求められるもの…。
それは、清廉潔白である事である。
すなわち、女性も男性も同じ様にその事
ついて向き合わなければならないのだが…。
この男は、別の意味でも常に己自身と向き合い戦いを続けていた。
私は介護士である。
名前は言いたくない。
毎日、利用者様の罵声を浴び
周りのお世話をする職務についている。
苦痛ではない。
むしろやりがいもある。
そして介護という仕事は
世間が言うには特別な人間のみが
出来る仕事(聖人君子)だと思う人間も
少なくはない。
私は聖人君子などこの世に
いないと常々に、感じ初めていた。
その理由は…。
人間は、隠された欲望が誰にしも存在するからである。
そして私にも人には言えぬ秘密がある。
それは職場の異性と何か会話を
する度に、ピンクな妄想を
膨らますのである。
決して変態ではない。
私はこれを(脳内デート)と
命名し楽しんでいた。
そして私の様な人間も数多く潜んでいる。
今日はどんな脳内デートを楽しめるのだろうか?
今日は、誰と組むのだろうか。
おっ。これは!
脳内デートのメインキャスト
(犠牲者?)光咲さんだ。
彼女の一言は、想像をふくらませるのに
うってつけの素材を提供してくれる。
彼女の黒く長い髪からは石鹸の甘い香りがする。
美しく長い髪を、後ろに束ねている。
そしていつものように挨拶をすると
こんな素材(一言)を私に伝える。
「いつも◯◯さんと仕事が一緒だと嬉しい。」
グフゥオ!…。これは凄まじい威力だ。
私には異性への免疫がない。
この一言は、私にとって
核兵器にも近い破壊力なのだ。
今日はこれを素材に脳内デートを、始めよう。
脳内で妄想監督が声をはる。
「光咲と恋のジェットコースター、愛は急には止まれない!」
(TAKE1スタート!)
光咲は、頬を赤らめ私に声をかける。
「今日は、◯◯さんと仕事が一緒だと嬉しいな。」
「あぁ僕もだよ。」
そう言うと僕は彼女の柔らかい手を軽く握る。
光咲は、「…えっ。」と少し驚き
私の方に近付き身体を寄せる。
そして彼女の薄ピンクの唇に
私は吸い込まれていくように…。
「ちょい待ち!カット!カット!」
「なんやねん!そのくだりは!」
「これだからチェリーはあかんねん…。」
妄想監督は、私の脚本に呆れていた。
だが私からしたら、お前も私の一部だろう
と心でツッコミを入れたが
妄想監督は、作品に妥協を許さない。
そして助監督が妄想監督に
耳打ちをしていた。
(彼は必要以上に手を握り締めていました。)
(あれ以上触れるとやはりコンプライアンス的にどうかと…。)
「そっかやはりチェリーには無理やったか…。」
「ほな撤収!」
どうやら私の演技に問題があったらしい。
脳内の監督が職務に差し支えるとストップをかけた。
すると「トイレはどこだい?」
と利用者様が私に訴える。
その瞬間に、現実へと引き戻された。
気がつくと私は、黙々と利用者様のトイレ
誘導をこなしていた。
「◯◯さん本当に利用者様の接し方が丁寧ですね。」
(いや今、私は、ピンクな事を考えていた。)
私は不純な生物なのだ。
その様な尊敬の眼差しで見ないでくれ。
そして変態ではない決して…。多分?
こうして脳内デートは、収まった。
第一幕はこれで終わる。
次はどの様なピンク(脳内デート)が楽しめるのだろうか。
私は、静かに汚れた下着を必死で洗いながら
夕日が沈むのを窓から
眺めていた…。
そして光咲さんは、洗い終えた、下着を見て
「すごい綺麗!一家に一台ほしいです。」
と悪気のない笑顔を私に向けて去って行った。
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