投稿小説サイトは今、どこもかしこも、判で押したようなチート魔法の異世界ザマァ小説や砂糖たっぷりのイチャデレ溺愛小説ばかりが濫造されている。
深いテーマに感動する名作も多く見かけるので一概にそれを否定する訳ではないが、読者に読まれるのも書籍化されるのもそんな作品ばかり。いい加減飽きた人、食傷気味の人も多いのではないだろうか。
ストレスを感じない小説が好まれるとはいえ、ワクワクやハラハラドキドキもなく、テンプレの既定路線でザマァ気分を味わえる今どきの小説をつまらないと思っている人、刺激のあるライトノベルが読みたい人、手に汗握る空戦を小説で体感したい人に、この作品は是非ともお薦めである。
初音ミクは知っていてもミグ21を知らない人も多いと思うので簡単に解説するが、この名機は第二次世界大戦後のロシアが生んだ第2世代のジェット戦闘機である。
細長いエンピツ状の機体に三角翼という魚のようなシルエット。操縦性の悪いジャジャ馬だが、その性能で西側諸国に恐れられた。ベトナム戦争でアメリカ戦闘機を何機も屠った撃墜王が駆ったのも、このミグ21であった。
旧式とはいえ、こんな名機を駆って空に生きる男の物語である。つまらないはずがない。
赤城毅の「虹のつばさ」、犬村小六の「とある飛空士への追憶」を彷彿とさせる、空を舞台にした爽快なこの冒険小説の今後に熱く期待したい
※レビュー内容について「ミグ21はカテゴリー的には第一ではなく第二世代戦闘機にあたるヨ」と歴史研究家の中西豪氏よりご指摘を頂いたので、お詫びと共に編集・訂正します
最近ではめっきり珍しくなった空戦ものであり、ウエスタンなロードムービーです。
本作の素晴らしい点は主人公のシェークとヒロインのライラの掛け合いに、緩急のついた巡り巡る展開もさることながら、やはり特筆すべきはドッグファイト描写でしょう。
引っ掛かる表現や文章がほとんどなくて、描写の解像度も高いので、どの機体がどう動いてるんだって状況が、しっかり頭に入ってきます。
(自分で書いてみると分かるのですが、擬人化した表現ができないドッグファイトを書くのって、すごく難しいんです)
ただ、機体が現代ではマイナーなものが多く、mig-21がザクなら、F-4はガンキャノンで、F-15がガンダムクラスの機体で……くらいのレベルでの予習はした方がいいかもしれません(笑)。
エリア88等が好きな人はもちろん、一味違ったエンタメが欲しい人は是非ご覧ください。