第19話「断罪の鑑定」

「黙りなさい、罪人の戯言など誰も信じませんわ!」


 リリアンナは動揺を隠すように叫び、宰相は騎士たちに攻撃を命じた。


 だが、騎士たちが動き出すより早く、カイルの隣にいたレイルが一歩前に出た。


「そこまでだ、偽物」


 レイルが人化の術を解くと、その場に魔王としての圧倒的な存在感が満ちる。突如現れた魔王の姿に、騎士たちは恐怖で動けなくなった。


「ま、魔王……!? なぜここに……!」


 リリアンナが絶句する。


 カイルは集まった貴族や騎士たちに向かって、はっきりと宣言した。


「皆、聞いてくれ! 俺のスキル『呪物鑑定』は、呪われた物の真実を見抜く力だ! 今から、この国を蝕む本当の呪いの正体を明らかにする!」


 カイルはリリアンナが持つ呪具『簒奪の聖杯の欠片』、そして彼女がこの国で行ってきた悪行の全てを、鑑定によって得た情報を基に語り始めた。


 聖女の力が、魔王レイルの「悲しみの呪縛」を悪用したものであったこと。その呪いが、実は暴走した友を想う悲しい呪いであったこと。


 そして、最近の奇跡の力の衰えは、レイルの呪いが善意の第三者によって癒されつつある証拠であり、それを補うために、呪具が国民の生命力を吸い上げていたという衝撃の事実。


 カイルの言葉には、一片の嘘もなかった。その力強い声と真っ直ぐな瞳は、人々の心を揺さぶる。


「そ、そんな……聖女様が、我々の力を……」


「では、カイル様は無実だったというのか……?」


 貴族や騎士たちの間に、動揺が広がっていく。リリアンナを信奉していた者ほど、裏切られたという思いは強い。


「すべて、デタラメですわ! その男と魔王が組んで、この国を乗っ取ろうとしているのです!」


 リリアンナは必死に否定するが、その顔は青ざめ、声は震えていた。もはや、彼女の言葉を信じる者は誰もいない。


 形勢は、完全に逆転した。


「リリアンナ。お前は聖女の名を騙り、人々を欺き、俺から全てを奪った。それだけじゃない……お前は、レイルさんの悲しい呪いすら、自分の欲望のために利用したんだ!」


 カイルの静かな怒りが、リリアンナを追い詰める。


「お前の罪は、俺が鑑定する!」


 カイルがそう宣言した時、追い詰められたリリアンナの瞳に、狂気の色が浮かんだ。

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