荒唐無稽な設定でありながら、読んでいてふと胸が締め付けられる。それはたぶん、薄井さちというキャラクターの造形がリアルだから。 彼女の内側が地の文ではなく、八代亜紀とストロングチューハイとスルメという「もの」の積み重ねで語られていく手法が見事。 地に足のついた主人公と、どこかズレた世界との摩擦。その温度差が、この作品の最大の魅力だと思う。