たしかに、それは「病原体」だという話、ちょくちょく耳にしてたなあ、というのを思い出させられました。
「私」と「マーくん」が体調についての話をする。マーくんは「生物」が熱によって活動できなくなる話をする。
マーくんは体調を崩したことで「お薬」を投与され、どうにか元気になったという。でも肌などはカサカサになってしまっている。
同じく「私」も手遅れになる前に病原体をどうにかできないかと考え……。
なんと言っても、このスケール感が良かったです。
私とマーくんは一体どんな存在なのか。そして「お薬」とはどんなものなのか。
「あれ」を「お薬」と呼ぶセンスがとにかく面白い。最後にイメージがガラリと変わり、「私」と「マーくん」の話している姿が頭に浮かぶと、つい頬が緩みます。それと同時に、ある種の「うしろめたさ」のようなものも。
童話ならではのほのぼの感を出しつつも、その裏に「あるテーマ」をしっかり含んだ作品。イメージがとにかく楽しくて、読み応えのある一作でした。
主人公の「わたし」にはマー君という幼なじみがいました。マー君は「わたし」が熱を出していることに気づき、「めんえき」という概念について解説してくれることに……。
まさかの真相にひっくり返りました。「えっ?」と思って最初から全部読み直してみたら、全てがとある「意図」に基づいていたことが判明。まさにどんでん返しのお手本のような作品です。
……と、あんまり言うとネタバレになるのでここまでにしておきましょう。
ひらがなだらけの文体は、タイトルにある通り、さながら児童文学。山本様の持つ「文体の特殊性」(過去作で言えば落語や昔話、文学調など)が本作でも遺憾なく発揮されています。
あまり身構えず、「わたし」とマー君のどこか初々しい会話に思いを馳せていただければと思います!