優秀すぎる双子の弟に劣等感を抱き、素直になれないまま取り返しのつかない過ちを犯してしまった兄・ウェインハルト。
深い後悔を背負って人生を終えたはずの彼が、気づけば弟ジークハルトの生きている過去へ戻っていた……。
今度こそ弟を守り、幸せにしたい。
できることなら、良い兄にもなりたい。
そんな切実な願いを抱きながらも、若い頃の不器用さに振り回され、優しくしたいのに口から出るのは刺々しい言葉ばかり。
中身は人生経験豊富なのに、弟を前にすると空回りしてしまうウェインが、可笑しくも愛おしく感じられます。
ジークも、完璧な天才というだけではありません。
兄に拒まれても歩み寄り続け、寂しさや本音を笑顔の奥に隠してきた、心優しい少年です。
少しずつ互いの気持ちを知り、ぎこちない兄弟の距離が縮まっていく様子に、何度も何度も胸が温かくなりました。
ウェインの親友である悪魔ネロも見逃せません。
口は悪くてもどこか愛嬌があって、ウェインへ向ける感情にはまだ多くの謎が残されています。
兄弟の微笑ましいやり取りの裏で、過去の悲劇や時間回帰の秘密が静かに揺らめいていて、先の展開から目が離せません。
これは、失敗をなかったことにするだけの物語ではなく、後悔を抱えた人間が、今度こそ大切な相手と向き合おうとする物語だと思うんです。
兄弟の絆や、不器用ながらも真っ直ぐな家族愛に弱い方へ、ぜひオススメしたい一作です!