本作は、日常的なバイト探しから始まり、気づけば生と死の狭間へ踏み込んでいる構成が巧みでした。テンコの素直で前向きな語り口が、不穏な設定を包み込み、物語全体に温かな空気を与えています。記憶を失ったおばあさんとの交流は、派手な演出に頼らず、感情の積み重ねだけで深く心に届きました。「感情を切り取る」という設定が、恐怖ではなく救済として描かれている点が印象的です。ラストで明かされる仕事の正体が、それまでの優しさを裏切らずに反転する構成が鮮やかでした。