貧乏大学生の窓下涼介は、毎日コンビニ弁当ばかりの食生活にうんざりしていた。そんな折、五感を再現したVRMMO『ガーリックファンタジー』の広告を目にし、「美味しいものを食べたい」という理由だけでゲームを始める。しかし、彼が選んだ「料理人」は不遇ジョブだった……。
ゲーム世界で「最強」でも「効率」でもない、ただ「美味しい」を追い求めていく展開が面白いんですよ。
この世界ではポーションにも味がある一方、NPCの料理は不味く、プレイヤーが作る料理も効果が微妙という理由で、料理人は不人気なジョブです。けれど涼介には関係ない。稼いだ金はすべて料理に費やすこだわりっぷり。ゲームの攻略よりも自分の趣味に振り切ったプレイスタイルが小気味いいんですよ。
さらに料理はオート生産ではなく、焼き加減や味付けまでプレイヤー自身が操作するリアル仕様。ほんの少しの手違いで、いままでの苦労が台無しになりかねない。毎回、苦心して一皿を作り上げる過程がハラハラ、ドキドキします。
初心者ゆえの失敗さえ楽しみながら、「次は何を食べようか」、「このモンスターはどんな味だろう」と世界を旅する涼介の姿に、冒険への期待が膨らみます。果たしてどんな「美味しい」と出会えるのか。是非自分もプレイして味わってみたくなりました。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)