ありきたりな言い方ですが、美しい物語です。
出だしは甘々で、思わずニヤけてしまいました。一緒にダンスを踊り、幸せいっぱいで。ですがふたりはお姫様とメイドの息子。この身分差がふたりを引き裂くきっかけになるのだろうなあ、とは予感していました。
そしてやはり、そのとおりに。本作はラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』からインスピレーションを得ているということですが、そうですね。この淋しげな曲調が似合うなと思いながら、読み進めました。いったいどんな結末になるのだろうと。
着想を得た曲の雰囲気を思うと、ディズニー的な、愛は無敵!みたいにはならないだろうなとは覚悟していましたが、最終話を開いた直後は「マジかぁ……」と悲しい結末の予感に胸がギュッとなりました。けれども、ページを下までスクロールさせると、その絶望は一転。
自分は途中からラヴェルの『亡き王女のためのパヴァーヌ』を聴きましたが、未読の方はぜひYouTubeで音源を見つけ、再生してから読むことをお勧めします。そうすれば、1話目を「可愛い、甘酸っぱい!」という単純な感情だけで通過せずに済むでしょう。
おすすめです。ぜひ。