追放された直後の閉塞感から始まり、地下での邂逅によって感情が少しずつほどけていく構成が、とても印象に残りました。
魔術を「美しさ」や「構造」として捉える視点が一貫しており、術式を直す行為そのものが登場人物の生き方や執着を映している点が魅力的です。
煤まみれの少女と語り手の距離感が、説明過多にならず行動と視線だけで描かれているため、場面に強い臨場感があります。
地下に立ち上がるオーロラの描写は、理屈と感覚が重なり合い、世界が一段広がる瞬間として鮮やかでした。
全体を通して、静かな会話と細部の描写が積み重なり、読後に余韻が長く残る物語だと感じました。