兄(右近)が義弟(左近)に託した「二つの椿」――庭の椿と妹つばき。そのどちらも守られていたと知った瞬間、右近の胸に広がったのは、安堵と侘しさが入り混じる深い情だったように思えます。
義弟と妹の幸せを心から喜びながらも、自分の役目が静かに終わったことを悟る、その胸の奥が切なく美しいのです。
また、語り口が平安物語の雅さと怪談の幽玄さが自然に溶け合い、語り部がそっと耳元で昔語りをしてくれるような独特の風情があります。
古語調の柔らかいリズムが、兄の帰還の場面や椿の枯れ落ちる瞬間にいっそうの深みを与え、物語全体を静かな余韻で包み込んでいるようです。
兄の愛情と孤独、そして語りの美しさが響き合う、情緒豊かな一編だと思いました。
歩さまならではの深く心に残る素敵な物語。
是非ご覧ください。
おススメです!
タイトルの「怪談」という文字を見て、「ホラーかな」と思ってしまうのは早計です。
御覧の通り、このお話のジャンルは「歴史・時代・伝奇」であります。
はて、ではなぜ故に「怪談」か?
それはお話を読めば、「ああ成程」とご納得いただけるものかと存じます。
その一方で、雅でやんごとなき雰囲気に包まれるような、実に味わい深い文章の運びもまた見事。
読み進めれば、平安の世の空気が感じ取れるかのようです。
作者様の深い知見が光りますね。
義兄弟の契りを交わした右近と左近、そして二つの意味の「椿を頼む」という右近の頼み。
その約束の果てに、左近の体験した出来事とは。
無常なるもののあわれ感じる平安の「怪談」、是非ともお楽しみください。
僕はとても悲しくて素敵な物語と思いました。
『怪談はホラーではない。今回はより「古典怪談」に寄せています。舞台の想定は平安時代後期です。そのためジャンルは「歴史・時代・伝奇」としました』
これが筆者様よりのメッセージです。僕は拝読後に強く同意致しました。
現在、ホラーが隆盛を誇っていますが、まるで違うアングルから僕らに新たな「扉」を開けてくれた記念碑的作品かと思います。
少し大袈裟かも知れませんが、数多くのレーベル編集者様はこの「需要」にいち早く気が付き、先手を取るべきだと僕は絶対の「核心」をもって助言します。
筆者である歩さんに、是非注目して欲しいです。
そして読者の皆様にお伝えするならば、「怪談はホラーではない」というメッセージの意味。例えば「お盆」を恐怖で捉える人がいないのと一緒で、僕らは「愛」をもってその存在を愛おしく感じるものだと思って頂ければ幸いです。
さて、本作です。
「完璧」だと思いました。筆者様のメッセージの意味がよくわかります。
ここに書かれている「想い」や「感情」は、
穏やかで美しく、
儚くて優しくて、
温かくて愛おしいのです。
僕は感動しました。今回のカクコン11短編において、強く、絶対に、読むべき物語だとお勧め致します。
「怪談」という認識を改めて考えさせてくれる物語です。
物語を愛するすべての人達へ、僕が感じた素晴らしい時間を、同じく感じて頂けたなら幸いかと思います。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)