VRMMOものを読み慣れた人ほど、第2話の初期設定シーンで思わずニヤッとするはずだ。スキル一覧を眺めていたジンが【反射】を見つけ、即座に「HPを極限まで積めば最強になれる」と看破する——その発想の飛躍が気持ちよすぎる。
このジャンルには無数の「最強ビルド」ものがあるが、この作品のコンセプトは特に純粋だ。攻撃しない。回避しない。ただ立っていれば相手が勝手に削れていく。STR・VIT・AGI・DEX・LUCK全て0、HPだけが173という初期ステータスの清々しさに、読者は思わず笑ってしまう。
「くらってなんぼ」という逆転の発想は、ゲームの文法を理解した上で意図的にひっくり返しているので、チートっぽい見た目のわりに筋が通っている。レベル上限なしというゲーム設計との相性も抜群で、HPをどこまでも積み上げていく先にどんなロマンが待っているのかと期待が膨らむ。
マサキや途中で出会う変人たちとのやりとりも軽快で読みやすく、シリアスになりすぎない温度感がこの作品の持ち味だ。198話・43万字という規模にも関わらず連載中というのも嬉しい。
「攻撃を受けた、あ、相手が死んだ」というあのシンプルな快感を、これだけ引き伸ばして読ませてしまうのはなかなかできることではない。
第1〜2話のスキル選択シーンで、この作品のコンセプトが一気に明確になる。
受けたダメージの3%を相手に反射する【反射】スキルを見つけた主人公ジンが即座に「体力が増えれば最強になれる」と気づき、HP強化とHP自動回復の3スキルでHP極振りビルドを確立する流れが気持ちいい。
「くらってなんぼ」という発想の逆転が最高だ。普通のVRMMOなら避けるべきダメージを、むしろ喜んで受け続けることで攻撃に変換する——このシステムを初期設定で直感的に見抜くジンのゲーム的センスが光っている。
レベル無制限というゲーム設計と組み合わさることで、「どれだけHPを積み上げても上限がない」ロマンも感じさせる。幼なじみのマサキとのやり取りが軽快で読みやすく、テンポよく進む序盤から引き込まれた。くらうたびに強くなるという単純明快な快感が、ずっと続く作品だ。