空気感がめちゃくちゃ良かったです。ウィルの“ずっと押し殺して生きてきた感じ”が文章から伝わってきて、読んでてかなり苦しくなる。特に月を見るシーンは静かなのにすごく印象的で、一気に物語へ引き込まれました。
呪われた悪魔の物語。この作品は、描写がすばらしいです。読むと、どんどん物語の世界に引き込まれます。まだ、途中までしか読んでいませんが、呪われた悪魔が人間たちを導くシーンが印象的。他の登場人物のキャラも、際立っています。こういう異世界があっても、いいですよね。
静かで安定感のある文体は美しく、それでいて動きは力強く、対話はじつに繊細。どの章を開いても、そこには物語に必要な対話があり、いっそう世界観に引き込まれます。魔物とのやりとりの緊張感は心地よく、キャラクターが全面的に映えているのがとても印象的です。自然の情景や色づかい、巧みな心理描写は秀逸で、異世界を楽しみつつも主人公の気持ちに寄り添え、心の動きがスーッと入り込んできました。切なさと心の本質に迫る読み応え抜群の作品です。
まずは何よりも読むだけでその場の情景が浮かぶ、文章の書き方に脱帽。悪魔と呼ばれる少年ウィルが迫害されながらも善性を失っていないことに好感が持てる。物語が進めば進むほど、主人公を好きになる。それだけに、あらすじの大罪とはなんなのか、先が気になる物語です。
とんとんと話が進んでストレスがありません。主人公が、呪いの子として糾弾される中、物語は動いていきます。登場人物が多いですが、さくさく読めました。
---鉄格子を掴む指をひとつ離した。 指先が差したのは僕だった---穏やかな情景にも、どこか寂寞とした空気を感じました。読んでいると、それがひたひたと侵食してきました。そして前述の一文。映像が浮かびます。それは長方形の液晶ではなく、自分を覆う空間に。自分は温度や湿気、においまで想像してしまいました。
孤独と月を見たことの重さが胸に刺さる。見上げた瞬間からの覚醒がいい味だしてます。ゾクゾクします。好きな雰囲気の作品です。