主人公は育ち盛りの娘を持つ母・愛美。娘の恵は何にでも興味を持つお年頃で、最近は探偵もののアニメにハマっているという。
恵はリコちゃん人形で『さつじんじけんごっこ』をしたいと言い始めた。ツッコミどころしかない「ごっこ遊び」に愛美は振り回され――。
およそ六歳児とは思えない大人の言葉遣いについつい笑みがこぼれます。「どこでそんな言葉仕入れてきたんだ」と思わずツッコミたくなること請け合いでしょう。
恵の探偵っぽい鋭い着眼点に振り回される愛美。二人の『さつじんじけんごっこ』はどんどんエスカレートしていき、訳の分からない設定がてんこ盛りとなっていきます。
どんな展開へ連れていかれるのか予想がつかず、ワクワクする小説です。志草様特有の筆運びが本作でも見事に発揮されていました。
志草先生の作品は電車の中で読んだらダメだって分かってたのに……
分かってたのに大失態をしてしまった。
声出して笑ってしまった。ああ、不審人物だ。
もうほんと絶対許さん……!!
なんでしょうなあほんと、『温める』というお題のテーマにピッタリなんですよ。
というか、ほぼ正解はこれなんじゃないでしょうか?
温める。まあ……あたた『まる』なのかな?
ヒートアップという意味で。
えー、物語は、娘さんのお人形遊びに付き合う母親という設定なのですが……
いきなり血生臭い一言目から始まってしまうんですな。
子供というのは時に残酷ですので、
覚えた手のものをどうしてもやりたがってしまうんでしょうなー娘がやりたかったのは、
可愛いお人形さんを使った殺人ミステリーでした。
そういえば、俺もやったよ……。
母親を巻き込んだよ……。
く、古傷を抉りよって……!!
まあそんなことはともかく、なんとかこの人形たちの可愛らしい世界観を守るべく、可愛らしいミステリーにしようと努力する母親。しかし娘は予想の斜め上を飛び越えていきます。
まあ、あとは、この子供にしてこの親ということもあるのでしょうな。
お母さんもついにリミッターが外れてしまうわけなんですが……。
天才ですわ。
もうほんと。
私がいうまでもないほどに。いやあ、参った参った。
まあ、難しいお年頃の子供の遊びに付き合うのも、
ママも「ままならない」というわけですな。
ともかく読んでください。
あーただし!! 人がいないところで読んだ方がいい!
本当に危ないこれは!!
ご一読を!!
志草ねなさんの『ママは凶悪犯罪者』は、育児の「あるある」を土台にしながら、遊びの設定がずるずると本物の事件めいていく過程を、軽やかな会話とテンポで押し切る短編である。母は掃除を済ませたいのに、6歳の恵にせがまれてリコちゃん人形の相手をする。その時点では家庭の小さな風景だが、「殺人事件やろう!」の一言で空気が反転し、母の頭の中だけが忙しくなる。人形が増えた理由に義父母の影が見え、日常の細部が笑いの伏線として効いてくる。
前編で母は、被害者をリコママにして、こすると消えるペンを使った「文章が出たり消えたりする紙」を仕込み、子どもの探偵ごっこを成立させようとする。ところが恵は「現場に血痕がない」「その紙とペンは小さい手じゃ持てないからフェイク」と、母の想定を次々に外していく。後編では取り調べが始まり、恵が勝手に設定を盛って話を転がし、母は軌道修正しながら必死に終着点を探す。イルカのぬいぐるみ「イルくん」を助手にする場面では、遊びが勢い余って弟の望を起こし、取り合いと破損が起き、母の堪忍袋が切れる。そこで母が「真犯人は私、ママ警部だ!」と演劇部仕込みの自白劇に突入し、ちょうどその瞬間に義父母が入ってくる結末は、笑いと冷えが同時に来る。家庭の安心が舞台装置に変わる怖さが、最後の数行で明確になるのが強い。
読み味は、子どもの言葉の鋭さと母の内心の焦りが交互に立ち上がり、短い場面の積み重ねで「取り返しのつかなさ」へ着地する。可笑しさを保ったまま、背中にひやりとしたものを残す作品である。
まさにカオス! 人形遊びから端を発し、どんどんカオスになっていくストーリーがひたすら楽しかったです。
幼稚園児の女の子・恵ちゃん。その恵ちゃんと一緒にママが人形遊びをする。
その日はきっと、とても穏やかな時間を送れるはずだった。間違いなく「普通」なら、ほのぼのとした遊びで終わるはずだった。
でも、あんな恐ろしいことが起こるなんて……。
恵ちゃんが突如「殺人事件をする」と人形を使って遊ぼうとしたことにより、その日の計画は大きく狂う。仕方なく娘のために「殺人事件の現場とトリック」を用意し、子供でもギリギリ解ける「子供だまし」を用意するママだったのだが。
ここから先で、恵ちゃんの「ヤバい子供」っぷりがどんどん見えてくることになります。「そんな言葉どこで覚えてきたの?」というような色々アウトで殺伐としたワードの数々を発したかと思えば、殺人事件に関して妙にリアリティを追求してくるなどなど。
次第にヒートアップしていく場の空気に笑いが止まらなくなります。やがて、「怪物」のような恵ちゃんに引っ張られ、ママにも変化が起こる展開に。
どんどん設定がカオスになっていく人形の殺人事件。そして妙に殺伐としていくシナリオ。この混沌はどうやったら収束し、最後に解決することはできるのか?
カオスがカオスを呼ぶ人形劇の行く末を、是非とも見届けてみてください!
我々はチビッ子を甘く見ていた。
思い返してみれば、国民的アニメに出てくる嵐を呼ぶ五歳児も、ケツだけで歩くという妙な特技を持っていたり、どこで知ったか難しくて大人な言葉を巧みに操っていた。
そう、子供だと油断してはならない。
未就学児の成長は、親が思っているよりもずっと早いし、その方向性も予想の斜め上のはるか先を超える。
妙なところに鋭い厄介な目の付け所が光るし、こっちの思惑の裏を突きなかなか思惑通りに動いてくれない。
だから、ごっこ遊びで大事件が発生しちゃってもおかしくない。
冴え渡る娘の迷推理、振り回されタジタジな母、冷たく横たわるママ人形、容疑者の娘人形たちは黙秘し口を閉ざす。
果たして、犯人の行方は。
そしてお題フェスのテーマ回収はどうなる。
ゲラ笑い必至のサスペンス劇場、そのオチまで見逃すな!