森で狩りをしていた青年が、ある事情を抱えた王女を助けたことから始まるファンタジーです。
二人は帝国へ向かう旅を共にすることになり、その道中で振る舞われる「クズ豆のスープ」が、少しずつ心の距離を縮めていきます。
タイトルにもなっている「クズ豆」という名前が、まずどこか可愛らしくて印象に残ります。
このマメェがただの小道具では終わらず、物語全体のテーマを象徴する存在になっているのがとても素敵です。
価値がないと思われているもの、見向きもされていないものが、人の心を温め、関係を繋いでいく――その描き方がとても素敵で、読んでいて心がほぐれていきます。
二人のやり取りも、甘くなりすぎず、それでいてしっかりと“温度”のある関係性が心地よく、気付けば二人のことを応援しながら読み進めていました。
読み終えた後は、まるで温かいスープを飲んだ後のような気持ちになります。
「温める」というお題にとてもよく寄り添った一作です。
正直、多くの人に読まれてほしい作品だと思います。
もしかしたら、読後に豆スープが飲みたくなるかもしれませんね。
……作者さんは食テロも狙っているのでは?と思ってしまうくらいです。