毎月4800万円という具体的な金額の返済プレッシャーが、まずインパクト抜群です。Sランクモンスターより借金を恐れる主人公という構図がコメディとシリアスのバランスを取っていて、「殺さない努力は義務だが、生かす義務はない」という台詞に、彼の歪んだ誠実さが凝縮されていると思います。
法律や契約書、災害救助法といった現実の制度を武器に立ち回るスタイルは、力でゴリ押す無双系とは違う頭脳戦の爽快感があります。各話タイトルの「任意聴取(任意とは言ってない)」「正義という名の加害」などからも、皮肉とユーモアを効かせた作者の語り口が伝わってきて、飽きずに読み進められました。
かつての相棒ひかりが変わってしまった彼を許せない、という人間関係の軸もあるため、効率と非情さの裏にある事情がどう明かされていくのか、続きが気になる作品です。
かつて仲間を救うために巨額の負債を抱えた探索者・鷹宮恒一。借金返済のためにダンジョン探索に従事するが、効率を追い求める彼の攻略法は違法スレスレ。配信では”魔王”や”悪魔”と罵られながらも、法律と契約書を武器に孤独な戦いを続けていく。
主人公の鷹宮恒一が背負っている借金は、なんと328億円。自己破産をしても免除されない非免責債権です。そんな莫大な借金を背負いながら、かつての仲間に真実を打ち明けることなく、すべての責任を一人で背負い、淡々と返済計画を進める。常に感情に流されず冷静に現実に立ち向かう、そんなストイックな生き様が熱いのです。
一方、変わってしまった彼を追いかけるヒロイン・朝霧ひかりの真っ直ぐさも印象的です。しかし本作は、正義感だけでは解決できない社会の複雑さや法律の残酷さを容赦なく描き出す。後先を考えず感情のまま行動した彼女に下される無慈悲な結末が、胸を締めつける。
そんな絶望の淵に立たされたひかりを、法律と契約を駆使して救い上げる鷹宮の姿に震えるんですよ。互いに譲れない正しさを貫こうとするからこそ生まれる、切なくも熱い人生ドラマ、是非ご覧あれ。
(「世界を越える配信」4選/文=愛咲優詩)