まず「殺人」=「芸術作品」と捉えるコンセプトがとても面白いと思いました。
恐らく、多くの人は「殺人」や「遺体」を「作品」と捉えることさえ禁忌のように思われるのかもしれませんが、本作の主人公は違うようです。
ですが「死」を直接的に表現するアーティストさんもいらっしゃることですから、「殺人」=「芸術作品」という形式を否定することこそ、なんとなく「表現の自由」への冒涜な気もします。
さて、「殺人」を「芸術」と捉えても良いのでしょうか。
まず本作に出て来る「遺体」を見て、皆さんには考えていただきたいですね。そしてそのご意見をお聞かせいただけると、とても楽しい鑑賞会になりそうです。
もちろんここでは私個人の感想を書かせていただきますね。
まるで油彩画を見ているような感覚でした。鮮明な色の表現と画材の材質をしっかり描写しており、その光景がうまく想像できました。またメッセージ(表情等)も併せて記述されており、「いったいこの絵画にはどのような深みがあるのだろうか」と、暗い美術館で絵画を見ている時と同じ心境を体験できました。
小説でそのような体験をするのは初めてかもしれません。
とにもかくにも、描写が丁寧で美しい作品ですよ。