先住民④【メアリー】
少女はしぶしぶ縄をほどいた。
トニーは心配そうな顔でこっちを見ている。
すぐに赤ん坊の元へ駆け寄った。
少女も私の背後から赤ん坊を覗き込んでいる。
その手にはしっかりナイフが握られており、刃先が背中からこぶし1つ分も隙間がないのを感じる。
…赤ん坊を見ると毎回恐怖感に襲われる。
子供が嫌いとかそういう次元の話ではない。
自分で食べることも動くこともできず、
いつでも誰からでも簡単に殺される存在だった時期があったことが恐ろしい。
しかもそれを覚えていないのだ。
誰が守ってくれていたかも、、
その時期に殺されていても殺されたことすら覚えてないのではないか…
ハッと我に戻り赤ん坊の全身を観察する。
高熱、発汗、呼吸促迫、食べることも出来ないのだろう、少し痩せている。
足に傷がありそこから膿が溢れている。
足からの傷が化膿したため全身に炎症が進んだ可能性がある。
ジャケットからコインが入るくらいの小さな入れ物を取り出す。
少女が叫んだが、慌てていたのか先住民の言葉だったので何を言われたかわからない。
背中に刃先が当たるのを感じる。
素早く近くにあった水で傷口を洗い流し、ケースの蓋を開け塗り薬を赤ん坊の傷口に塗り込む。
赤ん坊は痛みでわっと泣き声をあげたが、きついのかそれ以上は泣かなかった。
「一旦はこれで大丈夫だ」
少女は私がこれ以上何もしないのを確認し、手首に縄をかけた。
トニーが座らされている小屋の奥へ移動するよう言われた。
「大丈夫か?」
と言われたので、とりあえず力なく頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます