第3話「帰って来た”日常”」

朝、目が覚めた。

両親の気配は、どこにもなかった。


——何か事件に巻き込まれたんだ。


そう確信して、俺はテレビのリモコンに手を伸ばした。


『朝のニュースです。今朝四時三十分ごろ、◯×公園付近で、ツノ無しの一般人が誘拐をしようとして——』


……やめてくれ


『——逆に返り討ちにあい、死亡する……w。失礼いたしました。死亡する事件が起こりました』


そんなはずがない


『犯行人物は、ツノ無しの男(五十七)と、ツノ無しの女(三十六)であり——』


嘘だ

絶対に、ありえない


『犯人は、◯×地区在住の土方歳三さん、土方明美さんであることが判明しました』


次の瞬間、画面いっぱいに映し出されたのは、見慣れた二人の顔だった。


——父さん。母さん。


「やめろ……」


絶対に、何もしていない。

悪いことなんて、する人たちじゃない。


「やめろ!!! 見るな!!! お前らなんかが、見るなぁ!!!」


俺は取り乱しながら、テレビを覆い隠す。

意味がないことは、分かっている。分かっているのに。


その時、電話が鳴った。


震える手で受話器を取る。


『やっぱりな。お前みたいなツノ無し共は、

どんなやつであろうと犯罪を起こすと思ってたよ』


校長の声だった。


『二度と学校に来るな』


それだけ言って、電話は切れた。


俺の全ては、どこへ行ったのだろう。


その日、俺は何もできなかった。

ただ、一日中、放心するしかなかった。

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