あらすじだけ書くと『泣いたとこも見たことない仲良くない姉が、クラスで飼っていた犬が死んでわんわん泣く話』です。
例えば友達と飯食べに行って仲良くない姉の話を永延されたらどうでしょうか?
「あっそうなんだ~」ですね。
そうです。話の筋だけ見た時に魅力的な話ではないです。だけどこんなにおもしろい。
出だしから読者をぶん殴ろうとしてますね。
『両手には靴が握られていた。』
いい!『彼女は靴を履いていた』くらい当たり前の描写をカクヨムではよく見ますが、これは真逆のぜひ読みたい描写です。たった一文でドロドロの素足、汚れた手。非常事態を知らせています。
『私の埋めたクロの死体
逆さまに埋めた死体
埋められた死体』
次にこのセリフ回しですよ。死体の連呼です。発する側の未整理の叫び。受け取る側にとってはすごい混乱です。その通りに主人公は訳も分からないままただ側に行く。読者も同じ混乱を持って物語に進みます。
そんな風に冒頭だけでなくずっと大胆でパワーに満ちてます。しかも無鉄砲に振り回してるわけではなく、読者にどうぶち当てるか?もちゃんと工夫されています。
はじめからおもしろい話を書く必要なんてないんだと感じます。書きたいものをどうおもしろくするか、それが書く側の正しい姿勢だと思います。
だって本当に大切なことは常にコミカルで刺激的でおもしろいわけではないのだから。本当に大切なことを書くのなら作者がコミカルで刺激的でパワフルでおもしろくないといけないのだと感じさせてくれます。
おすすめです。