テーマ、作風、全てにおいて、Web小説の中に類似のものは見かけない。
特筆すべきはその語り手だ。語り手は物語の全ての場面に存在している。
地の文があるのではない。「語り手が存在している」のだ。
語り手は語る。説明するのではない。
講談師のように、また活動写真の弁士のように、物語を「語る」
皮肉を言い、嘆き、時に前言を撤回する。この語り手の存在も、他のWeb小説とは一線を画す一つの所以である。
自分もこのような語り手が存在する作品も書いているが、この作品の語り手の様式美は驚嘆に値する。
主人公・夕霧は黄金の目を持つ孤児だ。その目ゆえに搾取され、見世物にされ続ける。重い題材だが、この作品は決して泣かせに来ない。感情を説明しない。それでも伝わる。そういう書き方をしている。
明治末から大正の空気、着物と西洋家具が混在する世界観、一癖も二癖もある人物たち——全てが語り手の軽妙な筆致で包まれ、読む手が止まらない。
この語り手こそ、作品内で傑出した人物であると言えるのかもしれない。
15話まで読了したが、まさに佳境。
先が楽しみである。