〇〇星人がやってきた!負けたら地球滅亡。30点の凡人が最強の地球人を集める
レギュラー
プロローグ
第1話 野球星人がやってくる!
地球滅亡まで、あと1週間。
そんな日に限って俺は残業だった。
会社帰りの俺――
冷たい風に肩をすくめながら歩いていた。寒い、とにかく寒い。
今日も上司に怒られてしまった。
「覇気がない」「数字が弱い」「お前は何ができるんだ」
あの人、言うたびに眉間のシワが深くなっているけど
多分、俺のせいじゃなくてストレスだと思う。いや、俺のせいか。
「……俺って、ほんと全部30点だよな」
昔から友人によく言われていた
「お前ってなんでも30点だよな、知ってるけど出来ない」
あれ、今思い出しても地味に刺さる。
運動30点。
勉強30点。
コミュ力30点。
恋愛経験は0点。
唯一の取り柄といえば、
子どもの頃から好きだった、色んな競技の知識くらい。
野球、サッカー、将棋、麻雀、eスポーツ……
広く浅く、“知っている”
ただ好きで見続けてきただけだ。
「今日も帰って麻雀のMリーグでも見るかな……
世界戦では西川が優勝したけど、Mリーグでは伊達
実力だけでみれば、神宮司が一番なんだよなあ」
そんな、どうでもいい趣味が、
この後、地球の運命を左右することになるなんて、
この時の俺は、当然だけど、知るわけがなかった。
「……帰るか」
そう呟いた時だった。
夜空が、煌めいた。
音もなく、光だけが降り注ぐ
白でも青でもない、見たことのない色。
空気が振動し、街灯が一瞬だけ点滅する。
「……え?」
光の中心に人が立っていた。
真っ白の肌。
透き通った銀髪。
きらめく青の瞳。
背後では、光の粒子が舞っているかのように輝いている。
人間ではない。直観的にそう思った。
でも、思わず見惚れてしまう。
「三好鮭。あなたを探していました」
声は澄んでいて、冷たく、どこか優しい。
「……だ、誰……?」
「私はスズカ。ストライク星の文化保護官です」
ストライク星?
文化保護官?
意味がわからない。
「地球は、このままでは滅びます」
その言葉で、心臓が止まりそうになった。
「……は?」
「宇宙では、弱い文明は侵略される。
地球は今、宇宙最弱文明と認定されているのです」
頭が真っ白になる。
「ちょ、ちょっと待って! あんた宇宙人ってこと?」
「地球人である貴方からみればそうなりますね」
「いや、信じられないし、仮にそうだとしてもなんで俺に言うんだよ!」
自称宇宙人スズカは静かに首を振った。
「あなたが、地球を救う鍵だからです
これから、様々な宇宙人が地球の“競技”で挑んできます」
いやいやいやいや。
俺はただの凡人だ。
地球の競技で挑んでくるって何?
鍵なんて言われても困るって。
困惑していると
スズカは手をかざして、俺の頭にそっと添えてきた。
すると脳内にリアルな映像が流れ始める。
燃える街。
崩れ落ちる建物。
割れる大地。
空を覆う巨大な艦隊。
奴隷のように、家畜のように扱われる人々
……地球が、滅んでいた。
「……何これ?ウソだろ」
「これは、地球が侵略される未来です」
膝がガクガクと震えた。
息が苦しい。
目が回る。
先ほどまで、到底信じられなかった言葉が
嘘のように頭に流れ込んでくる。
「な、なんで……俺にそんなヤバいものを見せるんだよ……!」
スズカは、ほんの少しだけ表情を柔らかくした。
「宇宙最高AIに尋ねました。
“地球で最強の競技者を知っている者は誰か”と」
ごくり、と喉が鳴る。
「その答えが——三好鮭、あなたでした」
「いやいやいやいや! 絶対間違ってるだろ!」
「AIは間違えません」
いや、間違えてるだろ。
俺はただの会社員だぞ。
「あなたは、地球文化を最も広く理解している。
地球の競技者を導く役目に最適なのです」
「……地球の競技者を導く?凡人の俺が?何のために?」
「三好鮭。あなたは凡人ではありません、地球文化の案内人です。
第一戦は“野球” 一打席勝負
今から1週間後、ここ地球に野球星人、
ストライク星の宇宙最強ピッチャー、ゼロがやってきます」
「野球星人???」
「はい、私の故郷でもありますが
貴方たち地球人がストライク星のピッチャーを打てなかった場合
先ほど観た映像と同じ光景が地球上に広がります。
1週間以内に地球最強の野球選手を探してください。
そして、案内してください。
……地球の未来は貴方に託されました」
「俺に?」
「はい」
「……この話、信じると思う?」
「信じなければ滅びるだけです、ご自由に。
ああ、あと1週間後の対戦の日まで私は貴方の近くにいますので
では、また明朝」
それだけ告げると、銀色の髪をなびかせ
謎の光に包まれた彼女スズカは目の前から消えていた。
ふと、上を見上げると巨大な飛行物から彼女が手を振っている。
あれが普通の車ならどんなに良かったかと思っていると
みたこともないスピードで飛行物は移動し、瞬く間に視界からいなくなる。
それは嫌でも彼女の話を信じるしかない光景だった……。
「……地球最強の野球選手」
最初に聞いたときから、一人の名前が浮かんでいた。
大空流星。
世界が認める、地球最強のバッター。
名前を思い浮かべるだけで胸の奥が熱くなる。
「……大空流星しかいない」
震える手でスマホを握りしめた。
3日後、WBC決勝。
大空流星が東京ドームに立つ。
進むしかなかった。
地球を救うために。
たった一人の凡人が、宇宙に立ち向かう為に。
――地球滅亡まで、あと7日
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