“僕”は、小さな男の子・健太くんの持っているくまのぬいぐるみ。
ぬいぐるみだから、親にも言えない健太くんの気持ちをずっと受け止めることができて、そばに寄り添ってこれた。
ぬいぐるみだから、“僕”は怖がったり不安な気持ちを抱える健太くんを励ますことも、ぎゅっと抱きしめてくれる健太くんに抱きしめ返すこともできない。
けれど、それでも––––。
多くの人が成長するにつれて手を離してしまう、けれど確かに心強い存在であったはずのぬいぐるみ視点で描かれる、あたたかい物語です。
成長していく心優しい健太くんの姿がリアルで、優しさが受け継がれていくシーンでは思わずウルッとしましたし、それを見守る“僕”が自分がいた意味を実感して自分の役割を受け入れるところの描写がとても素敵だと感じました。
全体的に爽やかな冬の朝のような透明感と、ぽかぽかとしたあたたかさが感じられて、どこか懐かしい気持ちになります。
これから成長していく貴方も、成長してぬいぐるみを手放した貴方も、ぜひ一度この物語を読んでみてください……!