勇者転生 神の魔法で最強です≪サンサール戦記パンチャー編≫
@yorozu_ya_lanove
第1話 勇者降臨
『ハルト・・・ハルト・・・』
(誰・・・呼んでいる・・・)
男は目を開けると、一面真っ白な場所に立っていた。どこまでも白い空間が続いており、果てがあるのか分からない。上下左右すべてが白いため、壁があるのか、自分が立っている床すらあるのか無いのか見て取れない。足の裏に感じる確かな感触だけが、そこに床があることを物語っていた。
『ハルト。目が覚めましたね。』
声がする方に振り返ると、そこには金髪金眼のまるで作り物のように美しい女性が立っていた。
「ハル・・・?誰・・・だ・・・?」
『まだ意識が完全に戻っていないようですね。お待ちしていました勇者ハルト。あなたはハルト=シイナ。いえ、椎名 遥人とお呼びした方が良いでしょうか。』
「椎名・・・遥人・・・。」
声に出してみれば それが自分の名であることを認識する。
(そうだ。オレは椎名 遥人。しかしここは・・・)
椎名遥人 28歳。普通のサラリーマン。未婚・・・どころか彼女がいたのも大学生の時だけ。嫌な考えが頭をよぎったハルトはとりあえず疑問を口にする。
「ここは・・・どこだ?・・・あんたは・・・?」
『ここはパンチャー。第5世界。そして、この世界の唯一の神 ズワース様がおわす領域。天界と呼ばれています。
そして わたくしはライラ。ズワース様の使いです。』
ハルトはライラと名乗った女性を見る。
髪はくすみ一つない金髪でつややかに光を反射している。軽くウェーブかかった髪は胸元近くまで伸びていた。
瞳は髪と同じく金。整った目鼻立ち。シミはおろかホクロ一つない肌。柔らかな微笑みを浮かべ、ハルトを見つめている。
視線を下げると、胸元には見事な双丘が高らかに主張している。
ふわりとした白いローブのような服を纏っているため、腰回りや下半身はよくわからないが、非の打ち所がないスタイルであろうことは容易に想像できた。
ハルトはライラの女性的な部分を想像し緊張した面持ちになったが、ハルトの反応を待って こちらを見ているライラに気付き慌てて視線を戻す。
「パ、パンチャー?第5世界?よくわかんないんだが、オレはなんでここにいるん・・・ですか?」
ライラの美しい外見に、やや気後れしたハルトはどう反応してよいのか判断できず丁寧語が入り混じる話し方になってしまう。
『覚えていないのは無理もありません。ハルトにはつらい話になりますが・・・あなたは死んで、この世界に転生されたのです。』
「死・・・転生?」
『はい。思い出せますか?あなたは自動車にひかれそうになった子供を助けて死んでしまったのです。』
「車・・・子供・・・あの時の赤い車・・・スマホを見ながら運転していて・・・。オレはあの時 助けたのか?あの子供を・・・オレは動けたのか・・・」
『そうです。あなたのおかげで子供は助かりました。その勇気に心打たれたズワース様があなたを新たな世界に勇者として導かれたのです。この世界 パンチャーの勇者として、魔王を倒し、世界を救ってください。』
「オレが・・・オレが勇者!」
長く記憶がぼんやりしていたハルトだったが、勇者として認められたことを聞き、目に力が宿った。
思い返せば不遇な人生だった。それなりな大学を出て、それなりに名が知れた企業に入社した。だがハルトは評価されなかった。挙句に自身の功績を同僚にかすめ取られ、数年後には後輩に追い抜かれていく。
だが、偶然でくわした交通事故寸前で子供を救うために足を踏み出せた勇気を神が見ていた。そして勇者として世界を救って欲しいと頼まれている。子供の頃に夢見たヒーローのようだ。
そう思うとハルトの拳に力が入る。
「ああ!任せてくれ!オレが世界を救ってやる!」
ライラは柔らかく微笑みながら熱いまなざしでハルトを見る。
『ありがとうございます。勇者ハルト。これをお持ちください。』
ライラが差し出したのは一振りの剣。シンプルな黒い鞘に納められた直剣だった。
ハルトは剣を受け取り、新たな世界へと降り立った。
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