### 秋の侵入者(選果場に侵入したミヤコが追い払われる小説)
秋深い選果場は、栗かぼちゃの甘い香りに満ちていた。ベルトコンベアが低く唸りを上げ、無数の橙色の実が次々と運ばれ、選別され、箱詰めされていく。倉庫の奥、積み上げられたかぼちゃの山の影で、微かな光が揺れた。
最初に気づいたのは、作業員の一人だった。かぼちゃの隙間から、淡い虹色の粒子が零れ落ちている。ゆっくりと近づくと、そこにいたのは小さな生き物——ミヤコだった。滑らかな肌が月光のように白く輝き、背中の薄い翼が微かに震えている。黒い点のような目が涙を浮かべ、栗かぼちゃにそっと寄り添っていた。
だが一匹ではなかった。かぼちゃの山の向こうから、もう一匹、また一匹と這い出てくる。四つん這いで素早く動き、翼を軽く広げて短く浮かびながら、群れでかぼちゃの頂を目指す。驚いた作業員が後退ると、ミヤコたちは一斉に高音の奇声を上げた。「ミヤコー!!」「アリリーン!!」と鈴のような美しい響きが倉庫に反響し、光の粒子が乱れ散る。
作業員たちは無言で動いた。一人が倉庫の入り口に仕掛けてあったネットを素早く広げ、もう一人が動物用の催涙スプレーを手に取る。ミヤコたちはかぼちゃを守るように群がり、翼を震わせて威嚇するが、作業員の動きは慣れたものだった。スプレーの霧が広がると、ミヤコたちはパニックに陥り、奇声を連発しながら逃げ惑う。ネットが投げられ、数匹が絡め取られた。残りは翼で浮かんで逃げようとするが、追加のネットとスプレーで次々と捕獲されていく。
選果作業が再開された。かぼちゃを一つ一つ手に取り、傷を確認し、箱に詰めていく。その中で、一つの栗かぼちゃが微かに震えた。慎重に割ってみると、中から小さなミヤコが現れた。翼を畳み、かぼちゃの内側に寄り添っていたらしい。涙目でこちらを見つめ、弱々しく「ピュンッ……」と鳴く。他のかぼちゃを調べると、さらに二匹が同じように隠れていた。
全てのミヤコ——ネットで捕まった七匹と、かぼちゃの中から見つかった三匹——は大きなケージに移された。奇声は収まり、互いに寄り添って震えている。選果場の職員はケージをトラックに積み、夜の山道を走らせた。
森の奥、月明かりが差し込む開けた場所でケージが開かれた。ミヤコたちは最初怯えていたが、一匹が翼を広げて外へ這い出ると、他の者も続いた。四つん這いで地面を進み、互いに触れ合いながら木々の影へ消えていく。最後に残った一匹が振り返り、涙を浮かべた目でしばらく見つめていたが、やがて群れの奇声に呼ばれ、橙色の光の粒子を残して森深くへ溶けていった。
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