主人公の朝霧日陽里(ひより)は、かつてはカースト上位の明るい「陽キャ」でしたが、中学時代の事件を境に他人の視線に怯える「陰キャ」になってしまいました。
そんな彼女の前に突然、過去の明るかった頃の自分である『私』が幻影として現れます。
息苦しい学校生活をそつなくこなすため、『私』に身体の主導権を明け渡した日陽里ですが、それは「楽しそうに笑う自分の身体を、ただの傍観者として暗い気持ちで見つめ続ける」という、ひどく残酷で孤独な日常の始まりでした。
本作の最大の魅力は、もう一人の自分に身体と日常を奪われていく主人公の、ヒリヒリとするような「疎外感」と「自己喪失」の生々しい心理描写です!
自分が何もできずにいじけている間にも、明るく有能な『私』は勝手にクラスメイトと仲良くなり、あろうことか同級生の女の子(すず)から好意を寄せられ、告白までされてしまいます。
自分の身体が充実した青春を送っているのに、本当の自分の心だけがどこにも行き場をなくしていく痛切なジレンマに、読んでいるこちらまで胸が締め付けられます。
本当の自分を取り戻せるのか、それとも完璧な『私』にすべてを委ねてしまうのか。
複雑に絡み合う自己との対峙と、少し不思議で
切ない百合展開がどう転がっていくのか目が離せない、新感覚の青春心理ドラマです!
目立たない少女の前に現れたのは、明るく華やかな「理想の私」
その理想の私によって変わっていく周囲。
でも、それは「今いる本当の私」を決して居心地よくするだけじゃなかった……
誰でも心の中に「望む自分」を持っています。
そして、ある人は憧れとして人形のように留め。
ある人はその自分をペルソナのように、本当の自分に被せる。
中にはそれで大きな成功を収める人もいる。
世界的ミュージシャンの故ジョージ・マイケルは最たるものです。
でも、自身の努力や葛藤で「掌握した」理想像であれば良いけど、そうでなく突然現れて入れ替われたら……
一見いいことづくめですが、実際は……
この作品はそんな「理想の自分」をテーマにしていますが、このデリケートなテーマを繊細に、丁寧に、そして瑞々しく描いています。
拝読する内に、作者様の視点や感性の豊かさに感嘆させられました✨️
この先が本当に楽しみな、よい書き手様です!
皆様もぜひ御一読してみてください✨️