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幸せのオムライス

第一章 森の生活と孤児院改革

神様、それは無いと思います 1

 朝7時。スマホのアラームが鳴る。


 今日も始まった、山根やまねことり、28歳独身OLの一日。


「んー……あと5分……」


 布団の中でもぞもぞしながら、アラームを止める。

 5分後にまた鳴るようにスヌーズ設定してあるから大丈夫。


 ……という甘い考えが命取り。


 気づいたら7時30分。


「やばい! 遅刻する!」


 飛び起きて、最速で身支度。


 シャワーは諦めて、顔だけ洗う。

 化粧は最低限。ファンデーションとリップだけ。

 髪は適当にまとめてゴムで縛る。


 服は、クローゼットから適当に取り出したグレーのスーツ。

 いつも同じような服ばかり。

 だって、考えるのめんどくさいし。

 朝ごはんは、コンビニおにぎり。

 昨日の夜、明日の朝用に買っておいたやつ。


 鮭おにぎりを頬張りながら、玄関を飛び出す。


「いってきます」


 誰もいない部屋に向かって言う習慣。

 一人暮らし6年目だけど、なんとなく続けている。

 駅までダッシュ。

 ヒールで走るの、本当にきつい。


 満員電車に押し込まれて、人間サンドイッチ状態。

 隣のおじさんの加齢臭と、向かいのOLの香水が混ざって、朝から気分が悪くなる。

 スマホでネットサーフィン。


 短い文章を投稿できるSNSアプリを開く。

 昔は青い鳥のアイコンだったアレ。

 タイムラインには、猫の動画がいっぱい。


 ほぼ動物動画を見るだけのアカウントと化している。


「はぁ、可愛い……」


 もふもふの猫が、飼い主に甘えている動画。

 いいなぁ、私も猫飼いたい。


 でも、今住んでいる賃貸マンションはペット禁止。

 そもそも、仕事で帰りが遅いから、ペットなんて飼えない。

 会社に到着。

 タイムカードを押す。

 8時58分。


 ギリギリセーフ。


「おはようございます」


 誰も返事しない。

 みんな、パソコンに向かって黙々と仕事している。


 私も自分のデスクに座って、パソコンを起動。

 メールチェック。


 未読メール47件。


 うわ、多い。

 しかも、ほとんどがどうでもいいお知らせメール。

 エクセルで資料作成。

 数字を入力して、グラフを作って、体裁を整えて。


 この作業、もう3年やっている。

 正直、飽きた。


 でも、生活のためには働かないと。

 昼休み。

 コンビニ弁当を買いに行く。


 今日は、唐揚げ弁当。

 カロリー高いけど、まあいいか。


 休憩室で一人で食べる。

 同期は結婚して辞めちゃったし、特に仲のいい同僚もいない。


 スマホで通販サイトをチェック。


「あ、猫型クッション、可愛い!」


 もふもふで、抱き心地良さそう。

 値段は……3,980円。


 うーん、ちょっと高いけど……。


 ポチッ。


 買っちゃった。

 給料日前なのに。


 でも、可愛いは正義。

 もふもふは正義。

 午後の仕事。

 会議、会議、また会議。


 何も決まらない会議。

 時間の無駄としか思えない。


 内職でスマホをいじる。


 動画投稿サイトで『子猫の成長記録』を見る。

 音は消して、字幕で。


 ああ、癒される。

 この子猫の肉球、ぷにぷにしてそう。

 定時の18時。


 周りを見る。

 誰も帰る気配がない。


 でも、私は帰る。

 定時で帰るのは、労働者の権利。


「お先に失礼します」


 小さい声で言って、そそくさと退社。


 後ろから、「もう帰るの?」という視線を感じるけど、無視。

 だって、私の仕事は終わってるもん。

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