夕暮れの吸血姫

霜花 桔梗

第1話 クールビューティー

 私の名前は『夕香』吸血姫の一族の端くれである。今は田舎町の本家から離れて都会のワンルームマンションに住んでいる。


 もっとも、本家のお目付け役のミケとの二人暮らしだ。


 ミケは私だけの獣である。その姿は普通の三毛猫で、会話ができるのは私だけである。


 なぜ、本家から離れて暮らしているかというと、私の吸血姫としては血が薄いからだ。


 今は気楽な女子高生をしている。今日もまた、簡単な朝食の後、登校の準備をする。


「孤独は嫌かい?」


 唐突にミケが声をかけてくる。


「いいえ、出来損ないの吸血姫に友達は必要なくてよ」


 私が即答すると。ミケは何も語らず毛づくろいを始める。


 ミケは友達ではなく、本家のお目付け役だ。関係はクールで感情に乏しいものであった。


 さて、自宅を出発しよう。


 その後、私がバス停に立って待っていると。


「こんにちは」


 私と同じ制服の女子が挨拶をしてくる。


「誰?」

「えへへ、両親の離婚で、今日からここが最寄りなの」


 彼女は『筒木 紀奈』と名乗った。仕方がない、ここは私も名乗ろう。


「『夕香』と呼んで」

「ありがとう『夕香』さん、私達お友達になれるかしら?」


 その言葉に私の胸の奥がチクチクする。


 私は本家から遠くに離れる程の出来損ないだ。


「迷っているなら、お友達になりましょうよ。でないと後悔するわ」


 ふ、後悔か……。


 こうして、私と紀奈との関係が始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る