エトワールたち1974 伝説が生まれるとき
snowkk
第1話 青山体操クラブ
一九七四年十月
東京青山にある青山体操クラブ。
コーチの
先程から、ずっとI字バランスのまま止まっている。
Y字バランスより更に足を上げ、軸足と上げた足が一直線になっている。上げた足を手で支えたりすることなく、両腕は頭の上で軽く弧を描くように美しいポーズをとる。
そして、彼女が今立っているのは、僅か十センチほどの幅の平均台の上だ。
驚異的な身体能力とバランス感覚だ。
他の練習をしている生徒からも彼女に視線が集まる。
少女はゆっくり足を下ろすと同時に、平均台の上で前方に美しく二回転。二回転目に体を反転させ向きを変える。ちょうど平均台の端でポーズをとる。
その後、軽く勢いをつけて平均台の上で一回転した後、空中で一回転一回ひねりで綺麗に着地。
着地もブレない。
「なんなの。あの子」「信じられないわ」
周りで見ている生徒もコーチも驚きが隠せない。
少女の名前は
誰もが彼女は将来オリンピックの日本代表選手になると信じていた。驚異的なバランス感覚と柔軟性、体幹をもっている。
コーチの宮村がすみれのところにやって来た。
「すごいじゃない」
すみれは納得がいかないような表情で呟く。
「途中で少しバランスを崩しました」
「そう、そんな風には見えなかったけど、弟の優一君なんか、バランスがとれてるところが少ないみたい」
すみれが困った様な顔をする。
そこへ優一がやって来た。
「いやあ、今日は調子がいいなあ」
宮村が困った顔をして優一に言う。
「そう、そんな風には見えなかったけど、優一君もうちょっとストレッチをしなさい」
すみれの親友の由美と明美がやって来た。
「すみれ凄いわ」
「今度の大会はきっと一位よ」
「そんな」
すみれは体操クラブで期待の星だった。
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