和製クトゥルフと言えばこの作者を抜きには
決して語れない…。
何故なら、この日本に太古の邪神たちとその
辺縁のモノ、更にはその信者が跳梁跋扈する
『神津山市』という半架空の地方都市を
何ら違和感なく確立しているからだ。この
現実感がまさに 日本のアーカム を彷彿と
させ、又相反する文化の流れをも鮮やかな
臨場感を以て読者の目の前に展開する。
この【闇にいざなう異邦人】とは、勿論
和製クトゥルフ都市『神津山市』に展開する
H.Pラヴクラフトの 闇にささやくもの の
後日談的オマージュ作品と『近況ノート』で
述べられている。
そう、この『近況ノート』に解説がされて
いるところも併せて楽しめるだろう。
と或る大学の構内で、一人の教授が生徒より
自分の母親が得体の知れない宗教に嵌り
困っているのだという相談を受ける事から
話は始まる。
ご近所付き合いをしている家庭の事とも
あって、彼は相談に乗る事になるのだが…。
そこからの怒涛の様な展開には常に不安と
臨場感とが付き纏う。
神津山(茨城県w)の地理とも相まって
どんどん不穏な世界へといざなわれる。
何が凄いかというと、このクトゥルフの
持つ厳粛で荘厳な旧きモノたちの世界を
現代の、しかも日本の 怪談 にまで全く
違和感なく落とし込めているところだろう。
難しく考えずに楽しめる、この作品。
クトゥルフを知らなくても大丈夫。そして
大いなる闇の物語の数々を知る者たちには
きっと、驚愕と感嘆を齎すだろう。