5 御一行到着
翌朝、身支度を整えて、フェイスの到着を待っていた。
これからの事を考えるのに、知っていなければならない事を共有したいと思ったからだ。
”人外”と言う脅威が、親方様ですら警戒しなければならない相手だったとは。
私も知らなかった。
「そろそろ、来る頃かな?」
リビングで寛いでいた
「そうだな。もうそろろか?」
「どうしたの、リリィ。少し不安な顔を」
「……。ん、いや、ちょっと」
「何?」
私は心配していた。
本当にフェイスだけに伝わっているのだろうかと。
「
モイラが入って来た。
「おはようございます、モイラさん」
「おはよう、モイラ」
と挨拶を返す
モイラは、もう身支度を整えていた。
来た時と同じ衣装。
今は、壊滅した聖導会の神官の制服を着て。
モイラの後に続いて、使用人が入って来た。
「旦那様、
「来たか? 応接室に通してください。僕らもそちらに行きます」
「あの、旦那様。それが、……」
使用人が口ごもる。
「どうしました?」
と、
「団体様で、来られておりまして」
「え? 一人じゃないの?」
「……」
やっぱりか――。
そう、フェイスだけに伝えたのが、やはり漏れてしまったのだ。
ローズに。
ローズを通じて他の人にも。
「ははは。まあしょうがない。下の広間に席を用意しよう。応接室では狭いだろう」
「はい、旦那様。直ぐにご用意を」
「なあ、ちょっと待って」
私は、使用人に尋ねた。
「はい。奥様、何でしょうか?」
「……。も、もしかして、親方様も?」
使用人は、ハッとした顔をして答えた。
「はい。いらっしゃっています」
と使用人。
そ、そうかぁ。
「リリィ様?」
モイラが心配そうに尋ねる。
「あ、大丈夫ですよ。親方様という方は、帝国時代のリリィのリーダーだった方です。
と
「そうですか。あの”帝国の黒き重圧”と言われていた方ででしたか。しかし、リリィ様の上役の方でしたら、緊張されますのも分かります」
モイラはニコリと微笑む。
「じゃ、下に行きましょう」
私達は、下の広間に移動した。
下では、使用人達があわただしく、席を用意していた。
「ん? 何か、
私の嫌な予感は、さらに膨れた。
「あ、奥様。実は、……」
使用人は、私の耳元で次の様に話した。
「皇帝様、皇后様も、いらっしゃっております。会うまで黙っていて欲しいと言われお伝え損ねて降りました」
「ん? どうしたの、リリィ?」
がっくりうな垂れる私をみて
「そんなに、
と私は
「ん?」
使用人は、
「ええ? そうなの?」
家の者総出で、皇帝陛下とフェイス様御一行を出迎えることになった。
「おっはよ――、リリィちゃん!」
バン! と扉が開いたかと思うと元気な声が。
ローズである。
「……」
「あ、何その顔! 久しぶりなのに」
と、ローズ。
「お前は皇太子妃なのに。そんなに軽くて良いのか?」
「何言ってんの、ここでは出版社の社長の奥様のローズですよ」
と答えるローズ。
あ、頭が痛い。
「お、おはよう。リリィちゃん」
その後ろからフェイスの声。
「フェイス」
私は、キッと
「い、いやぁ。元聖導会の神官の方が来られたと聞いたら、自分だけ聞いていたら駄目かなと思って。御免ね」
申し訳なさそうに言うフェイス。
フェイスと、そんな会話をしているうちに、ローズは私に抱き付いて来た。
私のことを、妹の様に可愛がってくれるのは嬉しいんだが。
「ローズ。はしたないですよ。少し、落ち着きなさい」
ローズを
皇后様である。
「これはこれは、皇帝様、皇后様、どうぞこちらに」
「あまり、気を遣わずとも良い。今日は、元従者神官のモイラ殿が主役であるから」
リンド皇国の皇帝が言われる。
皇帝や皇太子が来ているので、当然護衛のガルド達も来ている。
その人達は席に座らず部屋の出入り口等に立ち、そのまま警護に入った。
「リリィ」
と、
「はい。親方様、わざわざありがとうございます」
しっかりと礼して、直立不動で親方様を迎える私。
「いや、構わぬ。そう固くなるな」
「リリィちゃん。おはよう」
と、シャトレーヌ婦人。
「お、おはよう。でもなんで、シャトレーヌまで?」
「うん。一緒に来いとリーゲが言うもので」
「はぁ。お、親方様が」
何だろう、何が始まるんだろう。
私への
少し詳しい話を聞くつもりだったのが、大事な会議が始まりそうな感じになってしまった。
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