まずタイトルからして強いです。
転生中に踏み潰されて二度死ぬ。
しかも、そこから始まるのが重たい復讐劇ではなく、薄毛を気にする社畜主人公が、神獣の力をまとって異世界リゾートを満喫しようとする物語なのが、とても楽しいです。
主人公のサトルは、いきなり不運に巻き込まれ続けるのに、どこか受け止め方がゆるくて、ツッコミも軽快です。二度死んだことへの扱いの雑さ、神域側の判断の早さ、そしてカンナのガイドブック片手の浮かれ具合。このテンポのよさに、読んでいて何度も笑ってしまいました。
特に面白いのは、神獣コジロウの影響で、サトルの行動が少しずつ「しば犬ムーブ」になっていくところです。本人は人間として真面目に行動しているつもりなのに、カンナから見るとどこかコジロウ寄り。そのズレが本当に可愛くて、笑えるのにどこか癒やされます。
そして、ただのギャグで終わらないところも魅力です。サトル本人はただ穏やかにリゾートを満喫したいだけなのに、なぜか周囲に影響を与えていきそうな予感があり、「これからどうなってしまうんだろう」と自然に続きを読みたくなります。
同歩成様の作品は、突飛な設定を勢いだけで押し切るのではなく、その設定から生まれる笑い、ズレ、キャラクター同士の掛け合いを丁寧に広げていくところがとても魅力的だと感じます。
薄毛を気にしていた社畜主人公が、神獣の力としば犬ムーブで異世界を歩いていく。
このゆるさとスケールの大きさの組み合わせが最高です。
サトルとカンナが、これからどんな旅をしていくのか。
そして本人の困惑をよそに、どこまで聖者扱いされてしまうのか。
続きがとても楽しみです。