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都会と地方。言葉の意味でも相反するものであるが、何も街並みだけがそうという訳ではない。さも当たり前の事であるが、住む人間、風習、雰囲気の一つに至るまで、やはり違うものがある。

ここから先に話すのは、私の偏見が大いに入っている。というか、偏見しかないものである。


とある日の事、下町の本屋街をふらふらと共に歩いていた時の事である。隣を歩く鏡花は、街ゆく人に視線を走らせながら、淡々とこう言った。

「地方にいる子って、なんて言うかな。擦れてないよね」

目は濁っていた。光がなかった。何処か絶望や失望さえ感じる様な目であった。其れはある意味、酷く傷付いていると思わせるものではあった。

擦れていない。世間の理不尽に揉まれるうちに、適応するうちに、自分の身を守る為に翳りが差す。其れが無くなった状態。まぁある意味で都会というのは。

「ギラギラしてるからな」

そう。全てにおいて華美で派手。第一印象が全て。何処かSNSを切り取った様な世界がそのまま広がっている。其れは良くも悪くも都会だからである。

「あのさ、遠方からたまに友達が会いに来て一緒に遊んだり、ご飯食べたりするのね。その時さ、うーん、量産系? 地雷系? まぁほら、SNSに良く流れてくる様な子の隣に案内される事があるの。

でさ、ずっと息が詰まりそうだったんだ。なんて言うか、お友達はお洒落に一切興味が無いからさ。隣の子に『私達、見下されてないかな』、『影で悪口言われないかな』って。で、ピリピリしてたの。でもさ、お友達はずっと楽しそうで、ずっと自分が好きなもの、好きなことをニコニコしながら話しててさ、『あぁ擦れてないな。このままでいて欲しいな』なんて思ったんだよね」

彼奴がここまで異様な程に警戒をしてしまうのは、人に取り入る為に自分自身を変化させて来たからである。ある意味、削れやすい世界の住人であったから。というのが理由の一つだろう。

「なんかさ、見かけだけに全振りするの、別に悪い訳じゃないけど、うーん……やっぱり信頼の置ける友達っていうカテゴリなら、擦れてない方が、やっぱりいいなって。

言葉にならないな。馬鹿」

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