日々のなかの、ふとした瞬間。
手にした一枚の年賀状と目にした指先から、思いは紡がれ始めます。
年末の慌ただしさの中で、野菜を洗い冷水に晒され続けた筆者の手には、しもやけができていました。
それは働いた手にしかできないもの。
きちんと暮らしてきた証しでもあります。
しもやけは、さらに別の記憶を呼び覚まします。
筆者の師匠の言葉です。
それはまだ胸のうちにしっかりと息づいているのです。
指先も、まだ覚えています。
誰かを癒やしてきた日のことを。
その記憶は今と、これからの日々をそっと後押しする心の支えとなっているのだと思います。
ここには、生活音が聞こえてくるような日常に根ざした思いが記されています。
静かな情感で綴られた文章は、読む者に温もりと和やかさをもたらすはずです。
そして綴られた言葉の芯には、冬の寒風のなかに咲く寒椿のように、凛然と佇む心の在り様が見て取れることでしょう。
声高に語ることなく、静かに心へと届く、印象深いエッセイです。
ぜひご一読をお願いします。