「僕は普通の男だけど、なぜか女子たちの相談役になっている件』
ペンギン
第1話 「初日って、いつも怖いんだよな」
目の前の景色が猛スピードで過ぎ去っていく。
最初は住宅街、それから多摩川。
胸が締め付けられた。
中原のビル群が見えてくる頃には、僕の靴は車のマットを叩いていた。
トントン、トントン。
緊張している。
今日は4月7日、火曜日。
それが何を意味するか、もう分かっているはずだ。
高校の入学式。
これから、未来のクラスメイトや、僕をいじめる奴らと顔を合わせることになる。
ネクタイが首を締め付けているような気がする。
心臓の鼓動が速い。
もし聞かれた時のために自己紹介を考えておかなくちゃいけないけれど、そんな機会なんて、きっと来ないだろう。
もし誰にも好かれなかったら?
……まあ、いつものことだし、慣れてるけど。
もし、いじめられたら?
不良に脅されて弁当を奪われる、あの小説の中みたいに……。
そしたら、情けをかけて放っておいてもらえるように泣いてやる。
ああ……。
家で寝ていたい。
人間って、怖い
前を向くと、タクシーの運転手がバックミラー越しに僕を見ていることに気づいた。
たぶん、僕が変なことをしないか見張っているだけだ。
タクシーが止まった。
それと同時に、僕のデジタル時計が震える。
心拍数は毎分134回。
緊張のせいか、それとも頻脈なのか。
外では、生徒たちの群れが校門を通り抜けていく。
両親と一緒に来た時は、どうして怖くなかったんだろう?
僕の不安は、タクシーの運転手の声によって遮られた。
「坊主、降りる準備はいいかい?」
「あ、はい!すみません、ありがとうございました!」
僕は急いでドアを開け、車を降りた。
数秒後、タクシーは走り去っていく。
リュックのストラップを強く握りしめる。
落ち着け、入出(いりで) 。挨拶して終わりだ。
別に大したことじゃない。
入り口は「入学おめでとう」の看板で溢れていた。
何人かの親たちは、自分の子供の写真を撮っている……。
少しだけ、羨ましくなった。
よし。
入ろう……。もし今すぐ家に帰ったら、両親は怒るだろうか?
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