現代でバトルロワイヤルが発生した日に出現したモンスターを倒すと金が手に入るので対人では無くモンスター狩りに勤しむ不良苦学生はモンスター狩りで一攫千金を目論む。
三流木青二斎無一門
始まり
2022年2月22日。
時間帯は深夜の22時22分丁度。
式崎荒哉がコンビニから帰宅する途中に開幕された。
「あ?」
スマートフォンを弄っていた式崎荒哉は、突如として画面がブラックアウトした事を確認して怒りを抱いた。
「勘弁しろよ、こんな時間帯に修理してくれる店なんざねぇぞ?」
軽くスマートフォンを振りながら電源ボタンを長押しする。
今の現代人にはスマートフォンの故障は危機的問題に直面する事だろう。
数秒の間が経過すると、暗転していたスマートフォンが再起動を開始した。
「クソ、驚かせやがってよォ」
機械如きが人間を患わせるな、と言う台詞を口にしそうになった。
だが、流石に其処まで傲慢な事は言えないし、他にも人が居たら確実に精神に異常が見られる人間だと思われる為、其処まで口にする事は無かった。
けれど、何か違和感を感じる式崎荒哉。
スマートフォンを確認すると、復帰した液晶画面には新たな機能が追加されているのが見えた。
「勝手に更新しやがった……あ?」
そして、液晶画面が再び暗転したかと思えば、液晶画面に表示されるのは、見た事も無い紋章であった。
それが表示されると共に、スマートフォンから音声が発生する。
『貴方は〈アルカナディア〉に参加しました』
『この端末は〈愚者〉のアルカヌムに変化します』
『これより音声と共にチュートリアルに移行します』
パスワードを入力して画面を表示しただけで、其れ以外は何も触れていない。
それなのに、機械的な音声が聞こえて来ると、式崎荒哉は困惑していた。
そして、周囲を取り囲む様に、現実世界がパネル反転の様に変化していき、暗闇の空間が広がる。
道路も緑色のライトが光るのマス目の空間へと変化し、建築物は無論、街灯すら消え失せた。
ただ自分の姿だけはハッキリと見える状態となる。
首を傾げる式崎荒哉に、音声から声が響いた。
『これより出現するモンスターは攻撃しません』
『貴方がモンスターを倒すまでチュートリアルは終了しません』
『モンスターは通常の攻撃ではダメージを与えられません』
『三つのスキルの中から選択し、武器として使用して下さい』
音声が終わると共に、式崎荒哉の目前に出現する一体の化物。
ダイアモンドの様な宝石が人の様な形を模したモンスターは式崎荒哉を認識するが、攻撃をする気配は無かった。
ただ、式崎荒哉の行動を見守り続けている様子であった。
「んだよ、これはよォ」
苛立ちを隠せない状態で、式崎荒哉は……再度、スマホを確認した。
スマートフォンに表示されているのは三つの項目であった。
その内の一つを、式崎荒哉はろくに確認もせずに大雑把に画面を指で乱打する。
「どういう事か説明しろや、おい、殺すぞッ!!」
スマートフォンに対して殺すと言う台詞は不釣り合いだ。
しかし式崎荒哉の意識は我を忘れる程に憤りを浮かべていた。
そして、式崎荒哉の選択が終わったと同時に、スマートフォンが手元から消える。
「あ!?」
大きく目を見開き驚きを隠せない式崎荒哉。
かと思えば、スマートフォンは粒子へと変化していた。
青白い光の粒が、式崎荒哉の頭部へと接近したかと思えば……顔面を覆い隠す。
「な、んだ、こりゃッ!?」
驚きと共に、顔に手を伸ばす式崎荒哉。
顔面を何度も触れると、無機質な感触が指先に伝わって来る。
「な……んだ、これ、仮面、か?!」
式崎荒哉の顔面には、仮面が装着されていた。
何がなんだか分からない式崎荒哉の耳元に、音声が聞こえて来る。
『選択を確認しました』
『
『貴方のスキルを表示します』
そう言われた後。
式崎荒哉の視界の隅に、電子で構築されたディスプレイが表示される。
『スキル』〈
種別:
概要:頭部着用型のスキル。
効果:戦闘時、スキル使用者の肉体、及び、道具がモンスターにダメージを与える事が出来る。
『戦闘を開始して下さい』
脳内で響く無機質な声に式崎荒哉は無視をして、仮面を外そうと顔の隙間に指を突っ込む。
無理に引き剥がそうとするが、しかし、顔から離れる事は無かった。
「はぁーーッ、クソ、戦闘?!殴れば終わりか?それで満足か!?」
式崎荒哉は仕方なく、アナウンスの指示に従いながら握り拳を作ると、モンスターに向けて大きく腕を振り上げる。
そして、ダイアモンドの様な光沢を浴びたモンスターに一撃を与えると共に、その肉体は一撃で破壊された。
「おらッ、これで終わりだ、さっさと戻しやがれ……がッ!?」
脳裏に響く音に式崎荒哉は後頭部を殴られたかの様な衝撃を受ける。
『モンスターを倒しました』
『レベルが上がりました』
『レベル1→レベル2』
『スキルポイント:1を獲得しました』
『スキルツリーを解放します』
耳奥で響く機械音声に耳を抑えたくなる式崎荒哉。
「喋んじゃねぇ、このッ」
式崎荒哉が仮面を外そうとするが、彼の視界には情報が表示される。
『スキルツリー:スキルポイントを消費し能力の拡張・強化・習得が可能』
『現在のスキル:0』
『スキルポイント:1』
『スキル項目』
・〈
消費ポイント『1』
効果:身体能力を向上させる。
・〈
消費ポイント『1』
効果:所持者を認識出来なくなる。
・〈
消費ポイント『1』
効果:鬼の仮面、顎が開き対象を咬み付く機能を持つ。
脳内に出現する選択権に、式崎荒哉はうんざりとした。
「選ぶ訳ねぇだろうがッ……さっさと、戻せやッ!!」
その言葉を最後に再び脳内にアナウンスが流れ出す。
『チュートリアルを終了します』
『マニュアルをアルカヌムに記録しました』
『アルカナディア:ルールをアルカヌムに記録しました』
その音声を最後に再び暗転する。
そして目を覚ました時……其処は何時もの帰り道であった。
さながら夢でも見ているかの様だった。
「なんだ、クソ、今のは……俺のスマホは」
確認をする式崎荒哉。
スマートフォンは時計としての役割として機能する。
2022年、2月22日。
22時30分と表示されていた。
しかし、液晶画面には不可解な部分がある。
式崎荒哉は連絡用に購入した旧式のデバイスだ。
なので、電話と連絡以外に使用は、スマートフォンに負荷が掛かる。
故にゲームや娯楽用のアプリは入れていない。
それなのに。
「……アルカナディア?」
謎のアプリがインストールされていた。
当然、式崎荒哉は気味が悪いと思った。
早速、アンインストールの手順に入る。
だが、アプリを削除しても、再び復活する。
さながら、式崎荒哉を宿主と認めている様に、だ。
「クソッ」
最早、意味分からない。
そう言った、脳に混乱を与えるものは早急に消すに限る。
故に式崎荒哉はスマホ毎捨てようとした。
だが、それを捨てた後の手間が脳裏に過る。
何よりも金が掛かるのだ。
中々、捨てるに捨てきれない。
「……ああ、畜生がッ」
悪態を吐き、スマホをポケットに入れる。
苛立ちを隠しきれず、片手に握り締める袋に視線を移す。
コンビニの帰りで購入した肉まんが入っていた。
帰りながら食事をするつもりだったのだ。
数分、時間が経過した為に少し冷めている。
肉まんを取り出して、食事にありつこうとした時。
『モンスターが近づいています』
デバイスから聞こえて来る機会音声。
「知るかッ」
式崎荒哉は無視をして肉まんを頬張ろうとした最中。
不意に、背後から気配を感じ、振り向くと共に腕が叩かれた。
手に痛みを感じながら、攻撃を仕掛けた相手を確認する。
「ぎひ、ひひひッ」
喉奥から汚らしい声を呻かせる、緑色の肌をした化物がいた。
背丈は低い、小学生くらいだ、近くの居酒屋で拾ったのか、酒瓶を持っていた。
「あ……」
式崎荒哉は喪失感を覚えた。
化物を相手にする事自体は、普段ならば驚きを覚えて恐怖するだろう。
だが、彼の関心は、道端に転がる肉まんに向けられていた。
先程の化物の攻撃により、式崎荒哉の肉まんが地面に落ちてしまったのだ。
「て、メェ……」
式崎荒哉は怒りを覚えた。
ただでさえ少ない食事と言う娯楽。
それを奪われた恨みは遥かに大きい。
握り拳を固め、式崎荒哉は化物に向けて拳を叩き付ける。
大の大人ですら、式崎荒哉の拳を真面に顔面で喰らえば簡単に気絶する。
だが、化物は拳を受けた時に肉体をはねらせた。
さながらゴムボールの様に、バウンドをした後に首を傾げて顔を上げる。
攻撃をまるで意に介さない化物の姿に、式崎荒哉は舌打ちをする。
「ちッ、そういや言ってたな、攻撃は効かないとか、何とか」
チュートリアルの時に聞いた話である。
それを思い出した式崎荒哉は仕方なく電子端末を取り出した。
「これを、どうすりゃ良いんだ、顔に近付けんのか、さっさと、仮面になれやッ」
彼の命令口調と共にスマートフォンが発光する。
そして、式崎荒哉の顔面を覆う仮面へと変化すると、微かに全身から力が溢れて来る感覚を覚えた。
「これで、テメェをぶん殴れるぜ、コラ」
式崎荒哉は悪態を吐く。
彼の視界の端に、化物を認識すると文字が表示される。
『個体名』ゴブリン。
名前が表示された様子だった。
式崎荒哉は覚える程でも無い情報と察する。
即座、式崎荒哉は握り拳を固める。
ゴブリンが酒瓶を大きく振り上げて接近する。
同時に、式崎荒哉は腰を落として膝を地面に突く。
その状態で下から上へと持ち上げる様な鋭いアッパーでゴブリンの顎を砕いた。
「ごヴぉああッ!!」
金切り声を漏らしながら、ゴブリンが光の粒子へと変化すると、地面に倒れると同時に破片と化して散った。
式崎荒哉は拳に確かな肉の感触を抱きながら深く息を吐いた。
『ゴブリンを倒しました』
『経験値が付与されます』
『レベルが上がりました』
『レベル2→レベル3』
『スキルポイント:1が付与されます』
『ゴブリンは現金:3000円を落としました』
『現金:3000円を電子マネーとして加算されます』
最初の内容は式崎荒哉にとっては不要な情報だった。
しかし、最後の文章を聞いた後に、音声履歴を確認する。
「……あ?現金、さんぜんえん?」
仮面が解ける。
式崎荒哉の手元にスマートフォンが残る。
アプリを開き、確認する式崎荒哉。
基本的に現金払いである式崎荒哉には縁も縁も無いキャッシュ決済用の電子マネーアプリ。
本来ならばインストールすらされていないのだが。
式崎荒哉は、そのアプリを開くと、『3.000』の数字が記録されていた。
「……モンスターを倒せば、金が入るのか?」
式崎荒哉は数分前までは鬱陶しい機能だと思っていた。
非現実的な現象に対して悪印象しか持たなかったのだが。
金が入るのだとすれば、話は違った。
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