最終話 このサイトにアクセスできません。
「これでいい」
端末を置き、俺は暗闇の中で低く笑った。
かつての自分(きいろい なつ)の「弱さ」と「未練」をこれでもかと煮詰めた、吐き気がするほど完璧な遺書。
この投稿を、前の作品の「最終話」として更新してやった。
「期間は短いけど」という一文が、読者の脳に毒のように回る。
これを読んだ連中は、勝手に最悪の想像を膨らませるだろう。
絶望した作者が、最後に何を遺そうとしているのか。あるいは、もうこの世にいないのではないか。
SNSは、狙い通り阿鼻叫喚の嵐だ。
『嘘でしょ、なつ先生!?』
『誰か連絡取れる人いませんか!?』
『カテエラくらいで自分を責めないで!』
初心者作家どもも、俺の仕掛けた共犯者としての恐怖に踊り狂っている。
彼らが必死に拡散するほど、この「悲劇」という名のコンテンツは、ネットの深淵へと浸透していく。
「カテエラした自分への同情なんて、一円の価値もない。だが、お前たちのその『恐怖』と『関心』には……莫大な価値がある」
俺は、新しい端末を手に取った。
これまでの「きいろい なつ」というアカウントは、これで完成された「呪いの遺物」となった。
明日からは、新しい人格、新しいペンネームで、この騒動を「検証」するモキュメンタリーホラーを世に放つ。
自分が殺した過去の自分を、自分の手で暴き、考察し、さらなる高みへと昇華させる。
「結果こそが全て。……そうだろ?」
鏡に映る俺の顔は、かつてのどの作品よりも、醜く、そして美しい物語を語っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます