読み終えてまず残ったのは、「年齢を重ねること=閉じていくこと」ではない、という静かな力強さでした。“手”というお題から、点字・手話・英会話・ビール検定へと自然に広がる語りは、どれも生活に根ざしていて、「老後」「スキルアップ」という言葉が、こんなにも柔らかく、前向きに響くのかと驚かされました。
びーる男爺さんの語り口は軽やかでユーモラスなのに、その奥には人へのまなざしと時間の重みがしっかり宿っていて、その奥には人とつながりたい、誰かの役に立ちたいというまっすぐな願いがあり、その情熱にじんわり温もります。
年齢を理由に立ち止まりそうな人に、そっと背中を押してくれる一作です。